「ハルディア」
「は」
 ハルディアはガラドリエルの呼びかけに礼儀正しく胸に手を当てました。ガラドリエルはそれからしばらく目を閉じ、身じろぎません。深い深い思考の海に潜りこんでいるかのようです。
 ハルディアは待ちました。
 指輪を破棄するための旅の仲間の一行が訪れて以来、ロスロリアンはオークの襲撃に対する警戒を強めていました。国境警備隊の隊長であるハルディアは定期報告を行ったところです。新たな命が告げられるか、このまま警戒を続行させるのか、それはハルディアの知るところではありませんでした。彼はケレボルンとガラドリエルの命令を忠実に遂行する者だからです。
 ガラドリエルは目蓋を上げました。
 深い記憶を隠した井戸のように深々としたその目をやんわりと細めます。
「ハルディア」
「は」
「モリアのオークは追撃を諦めたようですね」
「そのように見受けられます」
「だがそれも一時のことでしょう。モルドールの目はロリアンから離れることは無いのですから。今は一時その攻撃を止めたまで。そう遠くないうちにまた穢れた剣がこの森を襲いましょう。そして次なる敵はドル・グルドゥアから来ることでしょう」
 ガラドリエルは星のような眼差しをハルディアに向けました。
「国境警備隊に、交代で休暇を取るように命じます」
「……は?」
 黙って聞き入っていたハルディアは、思わず疑問系の返事をしてしまいました。
「……っ失礼をいたしました。しかし、何故今この時に休暇など……」
 よく言えば沈着冷静、剛毅木訥、悪く言えば四角四面な彼はロリアンの領主夫妻の言葉に異を唱えたり、聞き返したりすることはほとんどありません。こういったことは本当に珍しいのです。
「今この時だからですよ。戦いはこれから激しくなることでしょう。我らエルフは定命の子らに比べればはるかに強靭な身体を持っています。休むことも食べることも多くは必要としない。それでも何もせず疲れを癒すことはできません。これからの戦いに備えるためにも、休めるうちには休まなくては。特に国境を守っているそなたらは。無論、警備は続けなくてはなりませんから、一度に全員というわけにはいきませんが」
「なるほど」
 ハルディアは納得しました。
「まずは最前線の者たちからです。人数の調整はそなたに任せます。手薄になりそうなところがあるのならば、内警備の者を使ってよろしい」
「承知いたしました」
 ハルディアの頭の中には警備隊の面々の顔が浮かびました。一度に何人まで休めるか計算しなくてはなりません。
「そなたも最初に休暇をとるのですよ」
「しかし、私は……!」
「隊長がいざという時に的確な判断を取れない、などという事態になったらなんとする。今が最も敵の襲撃の心配をしなくてもよい時です。そなたも休暇をとるのです」
「……承知いたしました」
 思いもかけないことにやや呆然としながら、ハルディアは一礼をして退室しました。


(さて、どうするか……)
 ハルディアはいつもの彼よりもぼんやりしながら階段を下りてゆきます。
 休暇調整もさることながら、急な休みをどう使うかということに頭を悩ませています。
(やはり普段は行わない武具の手入れと鍛錬をするか……)
 彼はあまりにも生真面目なため、こういうときにも「一日歌を歌って楽しく過ごす」だとか「森の中を逍遥して花や星を愛でる」といったことができないのでした。
 本来ならば気楽さが売りであるはずの森エルフのハルディアが、そんな面白みのかけらもない休日プランを練っていると、丁度一つのフレトの前を通りかかったことに気付きました。
 そのフレトには指輪破棄の旅の一行とともに来た人間の娘が療養しているのです。彼女はひどい怪我をして弱っていたので、ガラドリエル自らが傷を癒しました。それでも何日かは臥せっていましたが、今では歩き回れるようになっています。数日前、いつものように定期報告を終えたハルディアが、夜中に一人でカラス・ガラゾンの中を迷っていたのを発見し、イロイロあって、友人になりました。
 ハルディアはフレトの前でしばし考え込むと、つかつかと扉の前まで歩み寄りノックをします。出てきたのは娘の看護と世話を言い付かっているエルフの婦人で、ハルディアの顔見知りでもありました。
 彼女の了承を得てハルディアは室内に入ります。
 すると。
「……、何をしているんだ?」
 やや唖然としながらハルディアは聞きました。
「あ、ハルディア、いらっしゃい」
 は顔を上げると嬉しそうに笑います。
 彼女はエルフの少年がはくような、ややゆったりとしたズボンに、上着といういでたちでした。足は裸足で、上着の袖は肘までまくっています。
 そして両足を大きく広げて上半身は伏せていました。
「柔軟体操してるの」
 はゆっくり身体を起こすと、またゆっくり上半身を伏せます。
「じゅうなんたいそう?」
「ずっと怪我してたから、肩から腕が弱くなってるし固くなってるし、ずっと寝てたから身体が鈍っちゃって」
「そうか。それにしてもずいぶん身体が柔らかいのだな」
 エルフは元々身体能力に優れていますが、こんな風に身体を曲げられるのか、やったことのある者はハルディアの知る限りいませんでした。少女の胴体がぺたりと床に付けられているその姿は関節が外れたか筋を違えたかのように見えます。
「こういうこともできるのー」
 は立ち上がると、今度は足を前後に開きました。そして足を伸ばしたまま腰を落とします。足は180度開いていました。
「痛くないのか?」
「全然」
 と、は立ち上がりました。濃い茶色の髪を束ねていた紐を解きます。
「ところでハルディア、何かご用?」
「あ、ああ」
 ハルディアはようやくこの部屋を訪れた理由を思い出しました。
「実は、国境警備隊に交代で休暇が与えられた。私は明日からもう休みに入る。君はカラス・ガラゾンまで目隠しをされていたから、その外を知らないだろう。君の体調さえよければ、案内しようと思うのだが」
「えっ、でも、せっかくのお休みでしょう? わたしのために使ってしまってもいいの?」
 は申し訳なさそうに小さく首をかしげます。
「構わない。特にやりたいことがないからな」
 淡々とハルディアは答えます。内心では遠慮深い少女の様子に好感を覚えていましたが、顔に出ないのです。
「スーリンさん、あの……」
 は世話係の婦人に許可をもらおうとしました。
 彼女は特に外出禁止令が出ていたわけではないが、怪我をしていたので自分の一存で出歩いてもいいのか自信がなかったのです。
「構いませんわ。ただし、まだ無理はしませんように。せっかくですからお弁当の用意を致しますわね」
 スーリンは微笑ましそうに頬に手を当てた。
「じゃあ、よろしくお願いします」
 は微笑むとハルディアとスーリンに頭を下げた。


 翌日。
 指輪破棄の旅の一行である闇の森のレゴラスが、いつものようにマルローン樹の階段を軽やかに上っていきました。に会うためです。
 が退屈しているんじゃないかと思って、と少女には言っていますが、本当はレゴラスが会いたいからなのです。彼は十日も経ってから自分が一目ぼれをしていたことを自覚しました。その埋め合わせをするかのように、また、異世界の少女が現れた時のように突然帰ってしまわないように、確認せずにはいられないのです。
ー」
 朗らかな声と共にレゴラスは扉を開けました。
「あれ?」
 部屋はがらんとしています。
 いつも部屋に控えているスーリンもいません。
「奥方様のところかな」
 レゴラスは呟くと、が帰ってくるまで待とうか、それとも上に行ってみようか、逡巡しました。
「レゴラス様?」
 その時、背後から声をかけられたので振り向くと、スーリンが立っていました。
「ああ、スーリン、は一緒じゃないの?」
様でしたら、ハルディアと出かけましたわ。わたくしは見送りをしてきたところです」
 レゴラスは目を見開きました。
「ハルディアと? どこに?」
「カラス・ガラゾンの外を案内すると言っていましたけど、あまり遠くへは行かないでしょう。ケリン・アムロスあたりではないでしょうか」
「ケリン・アムロスだね。ありがとう」
 レゴラスは礼を言うと駆け出しました。
 それを見送るスーリンの背後から、エルフの乙女たちが顔を覗かせます。
 彼女たちは期待に頬を染め、手を夢見るように握り締めています。
「ねえねえ、これってやっぱり……」
「レゴラス王子は嬢に恋してらっしゃいますのね」
「それに、ハルディアも……?」
「三角関係というものですわねっ!」
 きゃ〜すてき〜!
 二人はそろって黄色い声をあげました。
「ニムロス、エスイラノール……」
 スーリンは頭が痛いというように額を押さえました。
 彼女たちの絶叫が元で、ロスロリアンではその日の内に「ハルディアとレゴラスが人間の娘に恋をした」という噂が駆け巡りました。


 ハルディアはいつもの弓と矢筒を背負い、スーリンから渡された軽食の入っている籠を持ち、そしていつもよりゆっくりと歩いていました。彼の横を歩く少女は歩きやすいようにズボン姿でした。上着には立派な刺しゅうが施されていますが少女には大きめで、そしてどうも少年のもののようです。ロリアンには今子供はいませんので、エルラダンかエルロヒアのものでしょう。
 は物珍しそうに辺りを見渡しながら歩きます。
 季節は冬なのです。木々の葉は落ちたものも多いのですが、下草は青々として、冬の花が咲いています。
 薄紅のエリカ、白いリーウメリル、青いプリムラ。
 異郷の故国にある花と似ているものを見つけるたびに、は顔を輝かせます。そんな少女を見ていると、ハルディアの心は得も言われぬ喜びが湧き上がってきます。彼はのすぐそばに立ち、一つ一つこちらでの呼び名を教えました。肩を自然と抱き寄せます。仲睦ましいその様子は恋人たちのようでした。
 はふとハルディアを見あげて、小さく声をあげます。
「どうした?」
「ハルディアが笑っているの、はじめて見た」
「そうだったか?」
「そうよ。いつもこーんな顔しているもの」
 は口を真一文字に、目をきっとつり上げて、指で眉を上げました。
「……そうか」
 ハルディアは困ったように笑いました。
 笑っていると自覚したのは、確かに久しぶりです。
「そうよ。ハルディア、あなた笑っている方がいいわよ」
「それは、難しいな」
「そりゃお仕事中は無理かもしれないけど……」
 その時ハルディアはエルフの耳にしか聞き取れないほどの小さな足音を拾いました。さりげなく後方を確認します。
、さあそろそろ出発しよう」
「あ、うん」
「すまないが、これを持っていてくれないか?」
 ハルディアは籠を渡しました。
 が受け取ったのを確認すると、ハルディアは、
「少し、静かにしていてもらえるか?」
「え?」
 が不思議そうに聞き返す間もなく、横抱きにして軽く地面を蹴りました。
「きゃあああっ!」
 気がつくとそこは木の枝の上でした。ハルディアはいとも軽やかに枝と枝の間を飛び移ります。耳の横で風を切る音がするほど速いのですが、通った後の枝はそよ風に揺らされたほどにしか揺らぎません。
「な、何何何〜!?」
「静かに」
「だ、だって〜」
「不快な気配がする。急いでこの場を離れるぞ」
「ふ、不快? 不穏じゃなくて? オーク?」
「……違う」
 ハルディアは一瞬の間を置いて答えました。
「じゃあ……」
「口を閉じて。舌を噛むぞ」
 ハルディアが言うと、は静かになりました。


「ああっ!」
 ハルディアが走り出したので、レゴラスは声をあげました。
 ハルディアの言う「不快な気配」の持ち主とは彼のことでした。
 レゴラスはがハルディアと二人きりになるのを阻止するべく、彼女を探しに来たのです。
 見つけたときにはハルディアが少女に寄り添うように立っていました。
 生真面目な顔は、はにかんだように微笑んでいます。もレゴラスが見たこともないほど明るく笑っていました。
 レゴラスはそれを見て動けなくなりました。
 ハルディアに対する羨望と嫉妬で胸が焼けそうなほど熱く、その一方で頭の中は真っ白です。は自分にあんな風に笑いかけてくれたことはないのです。不安と悲しみが駆け巡りました。
 ハルディアはレゴラスの足音に気付いたのか、振り返りました。レゴラスの緑と茶色の服は冬枯れの中でも目立ちにくく、距離もあったのですが、エルフである二人ははお互いの姿をしっかり認識していました。
 そしてハルディアは少女を抱えて走り出したのです。これはもう、挑戦されたも同じです。レゴラスも駆け出しました。

 ハルディアは木々の間を素早く飛び移ります。
 さすがに土地勘があるので、あっという間にレゴラスを引き離しました。
 しかしレゴラスとて闇の森で鍛えた目と耳があります。それに森を駆け回るのは得意でした。生まれた時から知っている場所のように、レゴラスも木々の間を飛び回ります。
 始めこそ少女の声が聞こえていましたが、今はもう聞こえません。枝のしなるわずかな音や、風景に溶け込むマントの端を見分けてはその後を追いかけます。
「ん?」
 レゴラスの目にきらりと日の光を反射するものが見えました。
「!」
 次の瞬間、とっさに木の下に着地します。
 葉のないマルローンの太い幹にナイフが刺さっていました。レゴラスがそのまま走っていたら、腕か肩に刺さっていたことでしょう。
「そ、そこまでするか!?」
 レゴラスは逆上して叫びました。
 しかし、はっと気付くともうハルディアの足音が聞こえません。
 まんまと足止めを食らってしまったのでした。
「くそっ」
 レゴラスは忌々しそうに誰の姿も見えない木々の間をにらみます。
 しかしこのまま引き下がるつもりはありません。
「……そうだ」
 レゴラスは少し考えると、さっきまでとは全然違う方向に駆け出しました。


 走って走って走った後、ハルディアは軽やかに地面に着地しました。そこはケリン・アムロスの草地でした。
、大丈夫か?」
 腕の中の少女を下ろすと、心配そうに顔を覗き込みます。
「お……」
 少女は籠をしっかりと抱きしめたまま硬直していました。
 やはり怖かったか、とハルディアは思いましたが、
「面白かったー!」
 少女は頬を紅潮させ、瞳はきらきらと輝いています。
、怖くは……」
 ハルディアはやや面食らったように聞きます。
「ううん、全然。楽しかったわ!」
 の声は弾んでいます。本当に怖くなかったようです。
「それならいいが」
 意外に逞しいな、などとハルディアは思いました。
「ん?」
 ハルディアは鋭い目でエラノールとニフレディルの金色と白の花が咲く丘を睨みました。
 なだらかの丘の向こうに見えるマルローンの幹の影に寄りかかる人影があります。
「やあ、
「あれー、レゴラス」
 落ち着き払った様子でレゴラスは片手を挙げると、二人の方へ歩いてきました。
「レゴラスも来てたんだ」
 後ろを追いかけていたとは知らないは、ハルディアの思惑を他所にレゴラスに近づいていきます。
「そうなんだ。偶然だね」
 にっこり笑うレゴラスに、
『なにが偶然なものか』
 小さくエルフ語で呟きます。
『抜け駆けなんかさせないからね』
 レゴラスも言い返します。
『まったく、どうしてここが……』
『スーリンが、多分ケリン・アムロスに行くだろうって言ってたんだ。だから先回りしたのさ』
 ハルディアは勘のいい知人を思い浮かべて心の中で舌打ちしました。
『余計なことを……』
『助かっちゃったよ』
 は困ったように見あげました。
 なにしろ頭の上をエルフ語が飛び交っているのです。何を話しているのか、彼女にはわかりません。
『それにしても、領主夫妻の正式な客人にして闇の森の王の息子である私にナイフを投げつけてくるとはね。ロリアンのエルフは話に聞くよりずいぶんと血の気が多いらしい』
 レゴラスは唇の端を上げます。
『闇の森の王の息子の武勇は、このロリアンにも届いている。これくらい避けられて当然だろう』
 ハルディアは澄まして返しました。
『彼女はわれら旅の仲間の身内も同然、一言の断りもなしに連れ出すのは止めてもらいたい』
『彼女と私は友人だ。その彼女の了承を得ている以上、あなたに断りを入れる必要などない』
 レゴラスはかっとなって叫びました。
『勝手な真似はするな!』
『そちらこそ、恋人でもないのに余計な口出しはしないでもらおう!』
 ハルディアも負けじと大声をあげます。
『人気のないところでなにをするつもりだったんだ、このむっつりスケベ!』
『下世話な想像をするな、陰湿ストーカー!』
『石頭のサディスト!』
『わがままバカ王子!』
「ストーップ!!」
 が声を張り上げます。
 二人とも、途端に黙りました。
「エルフ語で喧嘩しないでよ、もう! どうしたっていうの。何が原因?」
 は腕組みをして二人を見上げます。
(原因はだよ)
(原因は君だ)
 しかし二人とも、そのことを口にするつもりはありません。
「気にしないで。単なる見解の不一致ってやつだから」
「まあ、そんなところだ」
「……はあ」
「それよりも、。出かけるのだったら私たちも誘ってくれればよかったのに。(こんな無愛想なのと)二人だけじゃ詰まらないだろう? 大勢の方が楽しいよ。小さい人たちも喜んだだろうに」
 いかにも親切そうにレゴラスは言いました。
「そうだったの? ごめんなさい。レゴラスたちはこの辺はもう目隠し外して歩いていたから必要ないって……」
「事実でしょう」
 憮然としてハルディアは言いました。
「気が利かないよね、ハルディアって」
「的外れな世話を焼くよりはマシでしょう」
「……喧嘩するなら、わたし、帰るからね」
 再び不穏な空気になり始めたところには釘を刺しました。


「上手くいかないものですね」
 ガラドリエルは頬に手を当ててため息をつきました。
 年若い乙女がいたずらに失敗したように拗ねています。
「あの子が欲しかったのかい? ガラドリエルや」
 ケレボルンは彼らの玉座のあるフレトの端に立って奥方を振り返りました。
「そうですわ。ですが、そうでなくともわらわたちが預かるのが筋というものでしょう? 異なる世界から来た娘を、こちらの世界のいざこざに巻き込むわけにはゆきませぬもの。ましてや危険の多い旅に出すなど……」
「当人は旅立つつもりらしいがね」
「そうです。それが問題です。ですがそれは彼女子に不幸をもたらすでしょう。このロリアンの中に彼女を留めるものがなければ、指輪所持者たちと共に彼女も出発することでしょう。あのハルディアがに興味があるらしいので休暇を与えてそれとなく刺激してみましたが――そうでないと時間を作って会いに行く、などと、あのハルディアがするはずありませんしね――どうやら失敗のようです」
「レゴラスは一見品のいい振る舞いをする若者だけど、案外したたかなところはオロフェアに似てるなあ。それにしてもいつも思うことだが、ご婦人方の噂話はすごい速さで伝わるものだね。もうを挟んでハルディアとレゴラスの三角関係の話がカラス・ガラゾン中に広まっているよ」
「噂される者によりますけど、なんと言ってもあのハルディアですから」
「あのハルディアだしね」
 ほほほ……とガラドリエルは口に手を当てて笑いました。
「まあ、もうしばし時間はありそうですし、様子をみましょうか。緑葉の君が余計なちょっかいを出して、が彼と一緒にいたくないと言い出すかもしれませんし。ハルディアにしても、望みはまったくないわけでもないでしょうから」


 しかしガラドリエルの目論見が叶うことはありませんでした。
 その二日後に、ヴァロマがやってきたからです。



あとがきは反転で↓
今までにないほどオチがない…
リュオーさまからのリクで「ロスロリアン滞在時にハルディアとゲームしてるヒロインにヤキモチを妬くレゴラス」でしたが、お読みの通り「ゲーム」の要素が入りませんでした。
申し訳ありません、思い浮かびませんでした(土下座)

えーと、一応ゲームネタも考えてはみたのですが、どうにも話が膨らまなかったのでハルディアとレゴラスで追いかけっこということで…(でもこれって、ゲームかな?ヒロインが逃げてるわけでもないし)




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