また家具を自作しました(前例はオペラ座ハウス製作の方を見てください)。
自分でもこの熱意がよくわかりません。
きっと夏が暑かったからでしょう。計画立てたのは5月だったけど。

パソコンデスクを新しくしたいなと思ったのは、MIDIキーボードとしても使える電子キーボードを使用していた時のことでした。
この電子キーボードは長さが120p少々あるもので、家具の配置状、ひょいっと出せる状態ではなかったのです。使いたい時に仕舞いこんであるベッドの下から引っ張りだし、スタンドに取り付け、使用後はまたスタンドを外して埃よけの布を巻いてベッドの下に押しこむということをしなければならなりませんでした。
その時PCデスクとして使っていた机はただの学習机(付け加えるとお下がり品だ……)で、電子キーボードを乗せるには長さも奥行きも足りず、ならばとスタンドに乗せて脇に置くとものすごい圧迫感で作業スペースが非常に狭くなり、さらに足元にはコードがとぐろを巻いている状態……。

もうね、使いにくくてしょうがなかったのですよ!!

電子キーボードを出すのが面倒でKAITOを構うのもままならず、このままでは本格的放置状態にしてしまうのだろうかと危機感を覚えました。
まあ、今までも精力的に使っていたわけではありませんが、やってみたいカバー曲は増えていたので、どうにかしないとなぁ、とは思っていたのです。
んで、なにがきっかけだったのかはもう覚えていないのですが、電子キーボードを置きっぱなしにできるサイズの机があればいいんじゃないかと思いついたのです。
思いついてしまえば単純なこととはいえ、当時の自分にとってはコロンブスの卵みたいな発想に思えました。
そして市販品、自作問わず、どんなPCデスクがあるものかと検索をかけた結果、自分がほしい機能を備えたPCデスクは売っていないということが判明しました……。
というよりも、素晴らしい自作PCデスク(しかもDTMに特化したもの)を作っていた方がいまして(※)、その機能に惚れ込みまして、でもそんな機能がある市販デスクはないようなので、しょーがないなー作るかー、と決心した次第です。
もう、家具のひとつやふたつ、作るのに躊躇なんてしませんよ、わたしゃ……。

(※)『DTM机◆自作のススメ』さん http://ameblo.jp/dtmdeskdiy/


ということで製作開始〜。



どんな机を作るのかを決め、サイズを確定したのち、材料を発注。
参考にしたブログさんのところは本体はアルミフレーム製ですが、私は自分の好みと自室の雰囲気を考慮して一部の金具類を除いて木製にすることにしました。アルミの方が本体軽い割に頑丈になるんだとは思いますが…。

今回の机はホームセンターでよく売っているパイン材では柔らかくて脚部分が全重量を支えきれなくなりそうだと判断して、もっと頑丈そうな種類を通販しました。
ちなみに注文先は例の自作DTMデスクの方が天板を注文した所と同じところです。自分でも探してみたけど、送料とか取り扱い種類とか比べてみて「ここでいいよなぁ」となったから。
使用した木材の種類はラバーウッド、いわゆる「ゴムの木」(厚さ25o)です。
これまでパイン集成材しか扱ったことがなかったけど、パインに比べるとすごく硬い。そして重い!
サンプルはハガキサイズだったから重さまではあまり頭が回らなかったのですが、重さは重要だよねーとしみじみ思いました(笑)




図面をちょっとアップで。
今回の机は右脚、左脚、天板支え部分の3つのパーツに分けて作り、最後に部屋で連結させ、天板を取り付ける、というやり方にすることにしました。
最初の写真で図面を載せている3つの板の山が脚と本体、何も載っていない長い板が天板です。

構造は極力単純になるようにしました。
脚も本体もこれまで作ったことのある本棚とか箱と同じです。
まずネジを止めるところに下穴を開けてネジ止めします。接着剤と併用するとより頑丈になるのですが、接着剤のせいでヌメって板がずれたりしたので(自分は平日休みが多いので助っ人はなかなか頼めないのです。助っ人やってくれそうな人と休みを合わせて作業すると作業できる日が限られるから今度は完成するまで時間がかかりすぎるし…。なので、一人で作れる大きさと作業内容であることも重要なのでした)接着剤は使わないことにあっさり方向転換する。
まあ、接着剤使わなくても壊れないでしょう…。

これで組み立てたのがこの3つ。



右脚部分。
これにPC本体を収納するつもりでこんな形に。
後ろ側が開いてないとケーブル類を抜き差しするのが大変だし、電源の位置的にも後ろ側に空気が流れるようにしておけば放熱しやすそうだと思って。
なおこの形はIKEAのVIKAという天板と脚を組み合わせて好きな形のデスクを作るというシリーズの収納付き脚というもののデザインをパク参考にさせて頂きました。




左脚。
こっちは資料置き場として使うために本棚型に。



この二つの上に乗っているのが天板支え部分。
完成した暁には幅150p、奥行き70pのデスクになるはずです。


さて今回は自分的に新しいワザにチャレンジしてみることにしました。
今まで作ったものはネジ頭は見えるに任せていましたが、今回はぱっと見えるところのネジ頭は見えないように処理をしたい。
そのため木ダボ埋めをしてみました。



こんなふうに、ネジを止めたあとに木ダボを玄能で叩きこみ、



余った部分を切断してやすりをかけるだけ。
この作業自体はそれほど難しくはなかったけど、ネジ頭の直径と木ダボが抜け落ちず、かつきつ過ぎない下穴のサイズはどのくらいなのかを把握するのにちょっと手間取りました。


そして木ダボ処理後は着色です。
デスクをどんな風に仕上げるか、ものすごく悩んだのですが、自室の壁や床の色とこれから使い続けるのに差し障りのない色にしなければないということで、天板を白の塗りつぶし、それ意外を濃い目のステインで着色することにしました。



で、こんな色。
水性オイルステインという、油性の風合いのでる水性塗料の、オーク色とオールナット色を1:2の割合で混ぜて水で2倍に薄めたものを3回塗りました。普通の水性ステインでは木目が目立ってしまう仕上がりになるそうですが、今回は目立たせたくなかったのでこのステインを使用することにしました(油性は薄め液とか使用後の洗浄に水が使えないのが面倒なので使う気になれないんですよ…)。
ただこれ、近くのホムセンで売ってなかったので候補色を二種類通販してみて、で、どっちの色がいいか決めようとしたのですが、オーク色だと床の色と同化しすぎるし、オールナット色だと濃すぎて雰囲気が重くなりすぎるということが判明。それに重ね塗りしないと塗りムラが出るだろうけど、300mlのを1本ずつしか買ってなくて、重ね塗りするには足りなそう(塗料1本分のためだけに通販したくなかった。送料、手数料が商品代金より高くなってしまうから)ということで混ぜて薄めて重ね塗り、という手法を取りました。
かなり苦肉の策だったのですが、これがかえって良い結果になりました。重すぎない濃い目の色になって満足です(喜)



ステインが乾いたら、天板を動かすための金具をつけます。
最初、天板を動かすのはスライドレールしかないのかなと思っていましたが、天板のサイズがサイズなので耐荷重的に大丈夫だろうかという不安がありました。稼働する天板は2枚あるのですが、そのうち一枚はほぼ引き出しっぱなしになることになるので、余計に心配は募り…。
例のDTMデスク製作の方がこの写真のパーツを使っていて、良さそうだったのでこれまた真似をして同じものを購入。
かなり金額的に痛かったですが、ここはケチる場面じゃなかろうと腹をくくりましたよ、ええ。
あ、ちなみにこの金具の名前はミニガイドレールといいます。何箇所か車で買いに行ける範囲にある大型ホムセンで探したけどなかったので、通販で買うのがベストじゃないかと思います。業者向けパーツみたいだし。

ガイドレールをネジ止め後、動かす予定のない天板を固定します。



その後は表面保護前の下準備として、サンディングシーラーを塗ります。
以前作った作品は塗装後はニス塗りで終了していたのですが、表面に細かいポコポコができてしまって(ニス塗る前はそんなことなかった)、なんでだろ?と思っていたんだけど、そのポコポコは木の導管だそうで。
それが出ないように滑らかにするためには目止めという作業が必要で、それに必要なのがサンディングシーラーなのだそうです。
というわけでサンディングシーラーを二度塗りしてヤスリがけします。
シーラーは乾くと透明になるので特に写真はとっていません。
研磨後はちょっと気泡痕がついてしまったけど、しっかり滑らかになりました。手触りはもろ市販家具です。サンディングシーラーってすごい。

そして天板を着色。
色は水性アクリル塗料のアースホワイト。柔らかい感じの白です。



一時はデスクを真っ白にしたくてたまらなかったけど、壁も白いのでこのサイズの真っ白机があったら目が痛くなるだろうなーと必死で自重した!
けど抑えこんでも抑えこんでもふっと白い机にしたいという衝動が…!
白の誘惑は強かった。だが私はその誘惑に勝った。

誘惑を完全に振り払えなくて天板は白くしたけど。でも真っ白じゃないもん!と自分に言い訳をしながら作業しました。
他にもチョコミントカラー(脚部が茶系、天板がミント色)にしてみたくなったりとかね。いやあ、色の誘惑って本当に強烈だったなー(遠い目)



こっちも天板。
スライドさせる2枚です。

なお、サンディングシーラーは着色に使う塗料によって、着色後に塗るか着色前に塗るかが変わります。
今回のデスク製作でいえば、
天板以外 ステイン→サンディングシーラー→ニス
天板 サンディングシーラー→アクリル塗料→ニス
となっています。

さて、天板の着色が終了したら、表面保護をします。
ニス塗りです。
これも乾燥したら透明になるので写真はなし。
耐熱とかのほうがいいかなーと、天板の方は2液タイプのウレタンニスを、その他の部分には余っていた水性ニスを塗ってみました。手触りなどによる差は特になし…。2液タイプの方、やる必要あったんだろうか…。

と疑問に思いつつもニス塗りまで終わったので作業場所を車庫から自室に移します。
脚二つと天板、天板支えを部屋に運び込み、連結。



脚と天板支えの背後は一文字でネジ止め。



側面は上からネジ止め。
このちょっとした幅の部分はネジ止め用にわざとつけたものです。
L型金具などはガイドレールを取り付ける都合上、使えないだろうし、木ダボ接合等の、完全に接合してしまうやりかたでは、この先このデスクを部屋からだそうとした時に分解できなくなってしまう(破壊するしかなくなる予感)だろうと思ってこのような形にしました。
このやり方なら天板と支え、脚はそれぞれ分解できますので、不要になった時や模様替えをする時にも便利です。



さて、支えと脚の接合が終わったら、ちょっとした金具をつけます。
背面の板には歪み防止も兼ねて棒を取り付けていました。
そこにヨートーを二つ、ねじ込みます。
これが何に使われるかはまた後ほど。

次の作業は天板をガイドレールにはめ込みます。
これはこのガイドレールに対応したミニガイドキャリッジというものがあるので、それを板に取り付けます。



まずは下側。
このキャリッジ取り付け作業が実に難航しました。
いや、取り付け自体はネジ下穴開けてネジ締めて、の通常作業だったのですが、ガイドレール内を水平に動くためにはキャリッジも水平でなければならない。
が、下穴が1〜2mmずれたりして、何度も下穴を開け直すハメに。
そうしているうちに穴を開けられるスペースがどんどんなくなってしまい…。
また天板の幅がぎりぎりすぎて、キャリッジがガイドレール内を動くのにかなり余裕がなさすぎた。
板がガイドレールと密着しすぎて、キャリッジがガイドレールにはまらない!
そしてどうにかしようと苦戦している間にもキャリッジが削れてしまい、これもう本当どうしようと途方に暮れました…。

そこでまずはキャリッジと板との間に少し隙間を開けようと、間にワッシャーを挟んでみた。
これでなんとかキャリッジがガイドレールにはまりました。
上天板はもっとひどくて、最終的にはよくもまあ押し込めたものだと自分で感心したくらい隙間がありませんでした…。



こんな感じ。
天板と天板支えの間の隙間は左右どちらも2o程度。動かすのにはそんなに支障はないけどね。

ここまで隙間がないのは、机を上から見たときに装飾目的でない金具が見えるのが嫌だという自分のこだわりを実行してみたせいなのですが、もう3oは天板の長さを短くしたほうが良かったと思いました。
板がはまって本当に良かった。
この硬い板を数ミリだけ自力で切るなんてどれだけ難しいか。
のこぎりなら失敗するだろうし電動工具使ってもうまくやれる自信はない。電動工具買うならまた費用がかさむし〜。




下天板と脚部の隙間アップ。
下天板は少し浮かさないと脚部と接してしまって動かすのが困難になってしまいます。
でも浮かしすぎると今度は電子キーボードが置けなくなります。
また、天板自体の重み、天板に乗せるものの重みで天板がたわむ可能性もある。
だから多少たわんでも大丈夫なくらいで、かつ電子キーボードを多少の余裕を持ちつつ置ける(上の天板もたわむ可能性があるからね)ために、下は5oだけ浮かす必要があった。
苦労した甲斐があって、そこは上手くできた。
もう感無量だった。
固定天板と上天板の間も同じような感じです。

さて、天板をはめたあとは、うっかり天板を引き出しすぎないようにするストッパーの役目をするものが必要です。
キャリッジがひっかかって止まればいいのでなべネジとかでも十分なのでしょうが、一応見栄えを考えてローレットを使いました。



これね。



ガイドレール、キャリッジ、ローレットの位置関係はこんな感じ。
奥に見える灰色の金属じゃないものがキャリッジ。それが手前にあるローレットのため、それ以上は引き出せないようになっている。
そしてガイドレールと板の隙間が相当ギリギリなのがおわかりになると思います。ワッシャーでどうにかなって本当に良かった。



これは上の稼働天板を裏から見たもの。
この部分だけでもアルミフレームかなんかにしておけば取り付けはもっと楽だったような気がしてならない。今更だけど。

そんな様々な苦労を乗り越えて、自作PCデスクは完成〜。



普段使用するときはこんな感じ。
奥の固定天板にモニタやスピーカーを置き、上の稼働天板はキーボードやマウスなどを置きます。
電子キーボードを置く下の稼働天板は奥に押し込んでおく。




電子キーボードを使いたいときは、上の天板を押しこみ、下の天板を引き出す。
高さが調節できる椅子を使っているので、それぞれ使いやすい高さに調節すればいいだけ。



天板を両方引き出すとこんな感じ。
この状態でも一応上の天板でPC使うには支障はなかった。
下の天板と太ももが接触してしまうが…。

硬い木質で厚みも十分ある板を使ったので、すごく頑丈。
そして心配していた天板のたわみは今のところない模様。
ガイドレールも、しっかり天板を支えてくれているので安心感と安定感があります。
素人工作臭があちこちにあるものの、できあがりには満足しています。

・素人工作臭の例


やすりかけすぎてステインが削れちゃったりとか。



天板をはめるために押したり引いたりしている間に塗料が移っちゃったりとか。
それも味です。使う本人が気にしなければいいだけのことですから(笑)


ところで先に写したヨートーですが、これにはオプションパーツとでもいうものをつりさげてます。



はいこれ。

これはなにかというと、100均で使えそうなものを買って組合せたコード収納かごです。
デスク製作のために色々検索をしていたら、雨樋を天板からつるしてコードを収納していた方を見つけまして(※)。
電子キーボードを使わない時でも足元でコードがのたうっていて、コード収納ボックスでも買おうか迷っていたところだったので、これはいい、と採用することにしました。
だって吊るしたらごちゃごちゃコード類が見えにくくなるのよ?
収納ボックスだったら掃除する時いちいちどけなくちゃいけないけどその必要もないし。うっかり蹴っ飛ばす心配もない。
電源タップをON/OFFすることもあるから、ボックスを開け閉めする必要もないし、これなら熱も篭りにくそう。
となるとやってみるしかないじゃないですか〜!


(※)『雨どいを机のしたに設置してコード類をスッキリ。』 http://deltalink.sub.jp/blog/?p=1039


ということでワクワクしながら最後の工程、PCその他設置をしてコードを収納するをしてみた。
参考サイトでは雨樋だったけど、雨樋だと切らなくちゃないし、余った雨樋は使うこともなさそうだし、要はコードが入るようなものを吊り下げればいいんだろ、ということでこうなった。



あ ふ れ た …!


ちょっとカゴが小さかったようです。
やりなおし。



これならまだなんとか…。
ステンレス製水切りカゴとどっちがいいか迷いまくったけど、ひとまずはこれでいいということにしておきます。



側面にヘッドフォンを引っ掛けるためのフックをつける。
ちなみにこのフックも100均のもの。

そして

完 成





なんかもう色々灌漑深い。
できあがるまでの苦労ももちろんだけど、床に直置きしていたPC本体をようやく収納できた。
3月のあの日、机の幅が狭くて落下して傷がついてしまったので、同じ目に合わせたくはないと仕舞いっぱなしにしてしまった外付スピーカーもこれなら大丈夫。でも念のため、あとで耐震ジェルとかを敷こう。
また、左側下部にはサイト更新のためによく使うものをまとめて収納。
模様替えもして、色々すっきりしました。

そんな管理人の部屋は2012年8月現在、自室にある家具はベッド以外全部自作家具になってしまったという…。

どうしてこうなった。
いや、妙に居心地がいいので、良いんだけど…。



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