その頃のルフェーブル@支配人室
「な……%○★□@◎◆¥▽……!!」
声にならない声を発し、ルフェーブルはわなわなと身体を震わせた。
目は零れ落ちんばかりに見開かれ、冷や汗がだらだらと流れている。
彼の手には例の白黒の手紙があった。
あまりに強く握られているので端は皺になっている。
それにはこう書かれてあった。
親愛なる支配人殿 「イル・ムート」の稽古は順調に進んでいるようで非常に喜ばしく思う。 さて、本日は一つ君にお知らせしておきたい事があってペンを取った次第である。 他でもない、「イル・ムート」の上演期間中のいずれかの日に私は先ごろ迎えた夫人を連れて見物に行くつもりでいる。 このようにわざわざ知らせるのは、その時には私たちの姿は諸君らにも見えるからである。 私は夫人をお披露目したいのだよ。 しかし、くれぐれも忠告しておくが、驚きのあまりに失礼な態度を取らないでいただきたいものだ。 また、騒ぎ出すであろう観客たちを押さえるのも君の役目であることを付け加えておこう。 P.T.O |
言うまでも無い事だが、これは他言無用である。 くれぐれもその時がくるまで他の者には知られないようにするのだ。 もしもこの言いつけに逆らえばどうなるか……。 わかっているな? それでは御機嫌よう O.G |
「ゆ、幽霊が増えた……!?」
誰もいない支配人室でルフェーブルは卒倒した。
そして半刻ほど経って意識の戻った彼はある心配事に思い当たった。
「まさか……夫人の分も合わせて今までの給料の二倍よこせと言ってきたりなんてことは……」
ルフェーブルは踏み潰されたカエルのような呻き声をあげた。
支配人の苦悩は続く……。
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