観劇中@エリック
素晴らしい勝利だ!
仕掛けはすべて完璧に作動。場内は薄闇に包まれている。
廊下で騒いでいた支配人どもは腹話術で脅すとすぐに静かになった。
そして隣には美しく着飾ったがいる。
満足だ。
難をあげるとなれば、薄暗がりでも客の視線がほとんどこちらに注がれているということだろうか。
まあ、彼らにしてみれば照明が消えたのも、普段は誰もいない五番ボックスに二人も怪しげな格好をした者がいるのも興味をそそることなのだろうから仕方がなかろう。
しかし彼女もたいした度胸の持ち主だといえる。
最初は怖気づいた様子を見せていたが、明かりが消え席に座ってしまった後は観客の視線もどこ吹く風と泰然として舞台に見入っていたのだ。
フリでもいいのでそうしろと言ったのは私だが、ここまでやれるとは思わなかった。
まさに彼女は神が私に与えてくれた女性なのだ!
私たちが出会うのは運命だったのだ!
ああ、。
これが終わったらたくさんオペラのことを教えよう。
そして私たちは二人してオペラ座に君臨するのだ。
音楽に少し疲れたら腹話術や手品を見せて君を楽しませよう。
とにかく私たちは一緒に楽しくやっていけることがわかったのだから!
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