わたしが選んだのはティーカップだった。
金と藍で東洋風の彩色をされたもので、甘すぎない模様が決め手になった。
「素敵だね。同じものがもう一客あればいいなあ」
「……お店にはまだあったわ。気が回らなくてごめんなさい」
気に入ってはもらえたようだけど、彼の反応には少しがっかりしてしまった。
が、
「いや、そうじゃなくて、どうせだったら二人で同じものを使いたいと思って……」
「え?」
「ティータイムには同じカップでお茶を飲むんだよ。きっともうじき、そうなる」
大切そうにカップを持ち、はにかんだようにラウルは笑った。
「ラウル……」
