あらかた部屋は片付いたけれど、エリックはまだ帰ってこなかった。
わたしはベッドに寝転んで、彼の帰りをひたすら待つ。
静かなのは嫌いじゃない。
だけど彼のいない家は火の気が絶えたようだった。
あまりの静けさが耳に痛くなってきた……。
ごろりと姿勢を変えると、目に飛び込んできたのはエリックから贈られたオルゴールだ。
彼にお別れを言ってからは思い出すのが辛くてずっと見えないところに押しやっていた。
ここ数日はめまぐるしいことが立て続けに起ったから、もうずいぶん聞いていない。
わたしはオルゴールを持ち上げると久しぶりにゼンマイを巻いた。
(9):pharau