後ろからわたしを抱きしめるエリックの威圧的な気配がわずかに弱まった。
深い湖の底から浮上するように、わたしはアミンタからに戻った。
言ってくれ
私と共に分かち合うと
唯一つの愛を、一度きりの人生を
この孤独から私を連れ出してくれ
救ってくれ―
本来の歌詞とは違う言葉が彼の口からこぼれる。
後ろに回っているので、エリックがどんな表情をしているのかわからない。
だけどわたしを散々怯えさせた男は、わたしに向かって必死になって助けを求めていた。
言ってくれ
私が必要だと
ここに お前の傍らに
お前の行く道がどこに続こうとも
その同じ道を辿って行きたい―
……もっと早くその言葉を聴きたかった。
そうしたら、わたしはきっとあなたの不幸を思って泣いてあげられたわ。
だけどあなたの闇は大きすぎて、近づいたわたしも一緒に飲み込まれてしまうだけ。
あなたから声を授かったけれど、あなたほど強くも大きくもないわたしには、あなたを支えることなどできやしない。
もう、遅い。
遅すぎるのよ。
!
それが私の望む―!
それでも、もう引き返すことなど、できないのね。
わたしも、あなたも。
それならせめて、わたしの手で幕を降ろそう――。
(3):timka
