※注意
話の展開上、この話にはレゴラスとヒロインの娘とか孫とかがでてきます。
オリジナルも甚だしいので、この手の話が苦手な方はおお戻りください。
あと、娘と孫は名前変換できないです。
第四紀千年頃のこと
(悪夢だ。これは悪夢なんだ!)
レゴラスは倒れそうなほどの衝撃を受けて頭が真っ白になりました
「……ス、おーい、レゴラス」
くずおれそうになる身体をなんとか支えようとしましたが、どうにも力が入りません。レゴラスはずるずると座り込んでしまいました。
「駄目だこりゃ」
「ごめんなさいね、エルラダン」
はすまなそうにエルラダンに謝りました。
さっきからエルラダンはレゴラスの名前を呼んだり目の前で手を振ってみたりしたのですが、まったく答えがありません。そしてとうとうへたり込んでしまったので、力の抜けたレゴラスを引きずって椅子に座らせました。
「どうしたらいいと思う? アルフィエル」
エルラダンはうーむとあごに手を当ててに助言を求めます。
レゴラスが自分の申し出を良く思わないであろうことはわかっていましたが、これでは話し合いが進みません。
「もう一度最初から言ってみたら? 多分耳が拒絶反応起こしているのだろうし」
まったく、仕方がないひとねえ、とは頬に手を当てます。
「ん、わかった。レゴラス。いや、イシリアンの森の公子レゴラス殿。私、エルロンドの息子エルラダンは貴殿の娘御であるシルヴィア姫との……」
「わー! わー! わー!」
生真面目な表情で告げるエルラダンの言葉を遮って、レゴラスが叫びます。
「……シルヴィア姫との結婚をお許しいただきたく参上いたしました」
「聞きたくない! 言うなー!」
耳を押さえて喚くレゴラスを無視してエルラダンは言葉を続けます。
「……どうか寛大なお心にて、姫君を賜りますようお願い申し上げます」
優雅に膝をついたエルラダンにレゴラスは食って掛かりました。怒りのあまり抜けていた力が戻ったようで、立ち上がって足を踏み鳴らします。
「言うなって言ったじゃないか!」
「それじゃ、話が進まないだろ!?」
エルラダンも立ち上がり、先ほどまでの丁寧さをかなぐり捨ててレゴラスに向かい合います。
「……母さま」
「ごめんね、シルヴィア。レゴラスが落ち着くまで待ってね。でも娘を持ってる父親なんてだいたいこんなものだから……レゴラスはちょっと大げさだけど。お父様はちゃんと許してくださいますから、そんなに悲しそうな顔をしないで」
「は、はい……」
シルヴィアは涙の浮かんだ目をしばたたきます。激高(というよりも半狂乱)する父レゴラスと、いらついたような恋人のエルラダンのやりとりを不安そうな眼差しで見つめていました。
シルヴィアはレゴラスとの二番目の娘で、先年、成人したばかりの若い半エルフです。姉がいましたが、彼女が生まれる前に西に渡るエルフの元に嫁いだので、シルヴィアは姉の顔を知りません。ただ祖母によく似た顔立ちの美しい姫であったと聞かされています。シルヴィア自身は母譲りの濃い茶色の髪に父に似た青い目の、清楚な愛らしさを持った乙女でした。
「レゴラス、ショックなのはわかるけど、あまり娘の前で醜態をさらすものではないわ。この子がエルラダンと恋仲だということは知っていたでしょう?」
が宥めるように言うが、
「私は認めていない!」
レゴラスは頑なに叫ぶ。
は呆れたように肩をすくめた。
「往生際が悪いと思わないの? 別にエルラダンはどこか別のとこにいくわけではないでしょうに。ロスマリエンの時とは状況が違うじゃない。ここにこのまま住むのよ? 一体、何が不服なのよ」
「不服だって? 、わからないの!? 何が嬉しくて娘を二人とも同じ顔した男にやらなきゃいけないのさ!」
そうです。ロスマリエンが嫁いだ相手というのがエルラダンの双子の弟、エルロヒアでした。
第四紀五百年頃のことです。
レゴラスは机の上に残されていた書置きを読んで、森中に響き渡るような絶叫をあげました。梢に止まって羽を休めていた鳥たちは驚いて飛び回り、獣たちは動きを止めて声のする方向を向いたほどです。
は慌ててレゴラスを探すために館を走りました。
レゴラスはすぐに見つかりました。
娘の部屋です。
中に入ると茫然自失となった夫が空を見つめて固まっていました。
「レゴラス?」
はレゴラスに近づくと、彼が羊皮紙を握り締めていることに気付きました。レゴラスを叫ばせた原因はきっとこれだと、はそれを横から覗き込むと、そこには「父上、母上へ」という一文で始まった別れの言葉が書き連ねてありました。
エルロヒアが西に行くこと、父上、母上もご存知のことと思います。わたくしも彼についていきたい。ですが、父上はそれを許してくださらず、わたくしを部屋に閉じ込めました。わたくしはいずれ父上のお怒りが解けることを信じ、ただひたすらその日を待ち望んでおりました。
ですが、もう時間がありません。出発の日が近づいています。
ケレボルン様も行かれる以上、きっとこれが本当に最後の船。乗れねば、西に行くことは永遠に叶わないでしょう。
わたくしは西行きの恩寵を返還した父上の娘でありますれば、ヴァラールはわたくしを迎え入れてはくださらないかもしれません。
ですが、判決の出るそのときまではエルロヒアと共にありたい。
わたくしは家を出ます。
親不孝をお許しください。
またお怒りが激しく、解くこと叶わぬのであれば、わたくしのことはいなかった者とお考えください。
愛しています。
「ロスマリエン……」
は手紙を読み終わると娘の部屋を見てまわりました。部屋の中から持ち出されていたのはわずかな着替えのみでした。娘のお気に入りだった竪琴も、ギムリが作った髪飾りも綺麗に手入れをされてしまわれたままです。
レゴラスが家人を呼んでアロド(レゴラスの馬は代替わりしてもずっとアロドと名づけられています)の用意をするよう命じました。
「わたしも行くわ」
「もちろんだよ」
連れ戻さなくちゃ、と呟くレゴラスに、は寂しげな微笑みを浮かべました。
一方、灰色港では、ロスマリエンが泣きはらした目で絶望に打ちひしがれていました。
エルロヒアは港に姿を現した彼女を見つけ、レゴラスの怒りが解けたものと思い喜んで迎えたのですが、彼女が家出をしてきたことを知り、顔を曇らせました。
「レゴラスの許しもなく、勝手に西に連れて行くことは出来ない」
父に連れ戻される前に船に乗ってしまおうと考えていたロスマリエンに、エルロヒアは頑としてそういいました。
エルロヒアはケレボルンに頼んで、決着が着くまで出港を遅らせてくれるよう頼みます。ケレボルンは快く了承しました。しかしロスマリエンはレゴラスが許してくれるはずもないと泣き続けました。
彼女が港に到着してわずか三日後に、レゴラスはと共に到着しました。
「エルロヒア!」
怒りに燃えたレゴラスは、出迎えに現れたエルロヒアを見るや、殴り飛ばしました。
「父上、止めてください!」
ロスマリエンはエルロヒアのそばに寄り添って、レゴラスに抗議しました。
涙ながらに取りすがる恋人に、エルロヒアは大丈夫だと宥めました。頬は腫れ、切れた唇からは血が出ていましたが。
「レゴラス、乱暴は止めて!」
夫の行動に仰天したも、レゴラスの腕にしがみつきます。
しかしレゴラスの耳には妻の制止も届きません。ただ娘を連れて行こうとするエルロヒアに対する憎しみだけが彼を支配していました。
「君が来るのを待ってた、レゴラス」
エルロヒアは唇の血を拭いながら立ち上がりました。
「私はアマンへ行き、ロスマリエンと結婚する。その前に君からちゃんと許可をもらおうと思っていた」
「ぬけぬけと!」
レゴラスは拳を握り締めました。はいっそうレゴラスに強くしがみつきます。
「彼女の門出に祝福を。私はいらない。恨んでくれていい」
「エルロヒア……」
ロスマリエンは呆然と恋人を見上げました。
「必ず幸せにする」
きっぱりと断言したエルロヒアに、レゴラスが大きく息を飲みました。
ロスマリエンはふらっと、父の前に出ます。
「父上、父上、わたくしはエルロヒアを愛しております。お側にいたいのです。わたくしたちの愛は遠く隔てられていても変らぬとわたくしは信じておりますが、それでも――アマンは遠すぎます。西に行くことが叶わなければ、わたくしはきっと死んでしまうでしょう」
死ぬと言われてレゴラスは怯みました。はしがみついたまま夫を見上げます。
「レゴラス、聞いて頂戴。言いたくなかったけど、言いたくなかったけど、あえて言わせてもらう。わたしはあなたの妻になるために、すべてを捨てたわ。帰りたかった、故郷に未練はたくさんあった。それでもあなたか故郷か選ぶしかなかったから、わたしはあなたを選んだの。あなたの方が大事だったから。レゴラス、ナセはわたしを許してくれた。あなたのことも。今度はあなたが許してあげて」
レゴラスはしがみついて必死な眼差しで見上げてくる妻を改めて見つめました。
今ではすっかり忘れがちになっていましたが、元々は人間でした。本当だったらとうの昔に寿命がきているはずだったのです。ヴァロマの画策によって新たな身体と不死が与えられた彼女は、レゴラスと出会った時の姿のまま時を止めています。五百年という年月は、ただ彼女の目の中に知恵として存在するだけでした。
不死となったは最初の頃はよく故郷を思い出しては泣いていました。さすがに今ではその回数は減っていましたが、すっかりなくなったわけではないのです。
レゴラスの怒りの炎は小さくなりました。しかし怒りは悲しみと混ざり合い、おきのように燻ります。
「でも、ロスマリエンは……西に渡ることができないんじゃないか?」
「大丈夫だよ、レゴラス」
レゴラスの激しい怒りが鳴りを潜めたのを見計らって、ケレボルンが歩み寄りました。
「君が西に行けないのは、罪を犯したからではないだろう。アルフィエルにしてもアマンと中つ国、どちらに住まうかの選択を求められた。ならばその娘であるロスマリエンにも西に住まう権利はあるだろう。本人が望みさえすれば」
「それに」
弟とレゴラスたちのやりとりに手出しを控えていたエルラダンが加わります。
「もしロスマリエンに西行きの権利がなかったとしても大丈夫。私の恩寵を彼女にあげるから。妹アルウェンがフロドに与えたように、私の分をロスマリエンに」
「なんだって?」
レゴラスは唖然としました。
「エルラダン、あなた、西に行かないの?」
も驚いてぽかんとしています。
「うん」
「うんって……なぜ?」
てっきりケレボルンと双子たち、裂け谷とロスロリアンに残った最後の高貴な住人たちはとうとう西に行くのだと思い込んでいたレゴラスは混乱しました。
「なぜって聞かれても……まだ私の時が来ていないようだから、としか」
「来ていないって、だけど船は……」
船はこれが最後なのです。今後はエルフの船であってもアマンにたどり着くことはないとケレボルンは予見しました。そこで彼は裂け谷やロスロリアンに残っていた同胞、緑葉の森やイシリアンに移住した者、そして未だ放浪しているエルフたちにこのことを伝えました。集った西行きを希望するエルフは、指輪所持者たちの船出した、第三紀最後の年の船出の時にも負けないほど大勢いました。
「船は出ない。恩寵も譲り渡す。きっと私はそうなる定めだったのだろう。エルフと人間に分かれた父と伯父のように、父の三人の子である私たちは皆違う道を歩むのだ。一人がアルダに、一人がこの世のどこでもないところに、そして私が中つ国に」
「……」
レゴラスは怒りを忘れて双子の友人とその祖父を眺めました。
皆穏やかな表情をしています。
「エルラダン、あなたの申し出はとても嬉しいのだけど、この子のために西行きを諦めたのだとしたら……」
「諦めたんじゃないよ、アルフィエル。本当に私は行きたいと思っていないんだ。だから悪いだなんて思わなくていい。それに、これも面白いじゃないか。なんたってスランドゥイル王の一族で西に行くのはロスマリエンだけだし、エルロンドの、引いてはお爺様の身内で中つ国に留まるのは私だけだ。これって、上手く出来てると思わないか?」
申し訳なさそうなを遮って、エルラダンはいたずらを思いついた子供のように笑いました。
「それで、君は留まって、その後はどうするんだ?」
ロスマリエンの問題はひとまず置いて、レゴラスは尋ねます。
「もう少し旅してまわろうと思う。旅に飽いたらイシリアンに行こうかと思っているけど」
「そう。私は構わないけど」
「ありがと」
エルラダンはにこっと笑います。
レゴラスはばつが悪そうに目を逸らしました。
「レゴラス、レゴラス」
は慰めるようにレゴラスの腕を叩きます。泣き笑いのような表情をしていました。
「あ……」
我に返ったレゴラスはロスマリエンの顔をじっと見つめます。
「行って……いいよ」
「父上」
ロスマリエンの目から大きな涙が零れ落ちました。
「ロスマリエンを頼む」
「わかってる。レゴラス、すまん」
エルロヒアはレゴラスの肩に手を置きました。
「だけど殴ったことは謝らない」
むくれるレゴラスに思わずエルロヒアは噴出します。
「それもわかってる。甘んじて受けるさ。私は花泥棒だからな」
それから百五十年ほどして、旅に飽きたエルラダンはイシリアンに住むようになりました。
またはロスマリエンのいなくなった空隙を埋めるかのように女の子を出産しました。
それが次女のシルヴィアです。
ロスマリエンの代わりにしようとしたわけではありませんが、幼い少女が元気に駆け回る様は娘を手放した寂しさを癒してくれました。
(……だったのに、だったのに〜)
回想を終えたレゴラスは目の前にいる悪夢の再来諸悪の根源のエルラダンをきっと睨みつけました。
「ああ、あの時無理にでもロスマリエンを連れ戻して悪魔の双子をそろって船に放り込むんだった……。罠だ。これはきっと罠だ。ヴァロマ殿の呪いだ」
ぶつぶつと呟くレゴラスに、はさすがにむっとした顔になりました。
「あのさ、私がエルロヒアと同じ顔なのは双子だからどうしようもないことで……。私だってまさかあの後君に娘ができて、さらにその子を好きになるだなんて思ってもいなかったもの」
現実逃避をするレゴラスにエルラダンは肩をすくめて弁解します。
「君がヴァロマ殿に許されたように、私のことも許してくれないか?」
「それはエルロヒアにやったからもう嫌だ。なんか、同じ奴が娘二人とも持ってくみたいで、すごく不愉快」
レゴラスは半目になってそっぽを向きます。
「子供みたいなことを言うなよ。いい加減、恥ずかしくないか?」
エルラダンはとうとうあきれたような口調でぞんざいな話し方になりました。
いくら恋人の父親とはいっても、レゴラスは彼にとって長年の友人で、しかもレゴラスのほうが少し年下なのです。
「別に」
ふてくされた態度のレゴラスに、エルラダンは髪をかきむしって叫びました。
「ああもうわかった。だったらけじめをつけよう。君のことはこれからちゃんと義父上と呼んで敬うから……!」
「うわ〜〜!」
話の途中でレゴラスが奇妙な叫び声をあげます。
「見て、これ! 寒いぼが立った! やめてやめて、気持ちが悪い!」
レゴラスは長衣の袖をまくります。たしかに見事な鳥肌になっています。
エルラダンは少し考えると、くるりとに向き直り、
「義母上」
と言ってみました。
はにっこり笑うと、
「いつもどおりアルフィエルって呼んでくれないと、今度はわたしが反対するわよ?」
と小首を傾げて指を左右に振りました。
やっぱり言われたくないようです。
「了解、アルフィエル」
もう二度と呼ばないと、胸に手を当てて誓います。と、にやりと笑ってレゴラスに向き直りました。
「レゴラス。さっさと私にシルヴィアをくれないと、君のことずっと義父上と呼ぶからね」
「う、う〜〜」
レゴラスはぞわぞわする背中をどうにかしようと自分で自分を抱きしめました。ここで認めなければこの拷問のような辱めがずっと続いてしまうことになるでしょう。
しかし。
「嫌だったら、嫌だ!」
「ふふふ、強情だなあ」
獲物を嬲る獣のような眼差しでエルラダンはレゴラスににじり寄ります。
「……今日はこれ以上話が進まないみたいだから、お茶にしようか」
はレゴラスと彼で遊び始めたエルラダンを放って娘に話しかけます。
「え、でもいいんですか?」
シリアスなやりとりから一変して幼馴染同士のじゃれあいになってしまったような雰囲気に、シルヴィアもどうしていいかわからなくなりました。
「いいの、いいの。飽きたらまた真面目に話すでしょ。そうでなくても、多分近日中に決着がつきそうだし」
エルラダンの勝ちで。
口にはしませんでしたが、シルヴィアは母の考えを正確に読み取りました。普段はレゴラスを立てるですが、レゴラスが駄々をこねるような時は実に大雑把な対応をとったりもします。
「あ、そうそう」
は部屋から出て行こうとする直前に、振り返りました。
「エルラダン、よかったらあなたの部屋をシルヴィアの隣に移しましょうか?」
「――!?」
「喜んで、アルフィエル」
のエルラダン援護にしか取れない発言に、レゴラスは頭を抱えて絶叫し、エルラダン自身は手を打って快諾しました。
「正気!? こんなケダモノをシルヴィアのそばに近づけるだなんて!」
「えー、だって式の日取りとか決まってからばたばたするのもあれかなあと思ったんだけど」
「アルフィエルは本当に気の利く女性だなあ」
蒼白になるレゴラスとは対照的にエルラダンはごきげんです。
「日取りって……!?」
レゴラスは眩暈がしているようです。
「ロスマリエンのときはわたしたち、まったく何もできなかったでしょう? 今度はちゃんとしたいじゃない」
「シルヴィアは成人したばかりじゃないか、結婚なんて早すぎる!」
レゴラスの絶叫に、ははあ、とため息をつきました。
「レゴラス、あのね。「言いたくないけどあえて言うわよその2」を聞きたい?」
途端にレゴラスは黙り込みました。は普段不満やわがままを言わないので、前回の件はだいぶ堪えたことを思い出したのです。
聞きたいとは思いません。しかしここで逃げたらの信頼を失うことでしょう。
「……うん」
「わたしがすぐは嫌だといったのに、プロポーズをしたその日のうちにヘンネス・アンヌーンに引っ張っていったのはどこの誰だった? 付け加えて言うと、あの時のわたしは十九歳。故郷の法律では女は十六歳から結婚できたけど、成人するまでは結婚するのには保護者の承諾が必要なの。で、知ってるだろうけど、わたしの故郷で成人に達する年齢というのは二十歳なのよね」
成人してるだけいいじゃない、との目は訴えています。
「う……う……うう」
レゴラスは反駁できすに涙目になりました。
「こういうの、なんていったっけ」
エルラダンはすっかり追い詰められたレゴラスを、やや気の毒そうに眺めました。
は腰に手を当てて片目をつぶります。
「因果応報、じゃない?」
あとがきは反転で↓
トウラ様のリクエストで、「その後の二人を。どーんと千年後くらい。二人の子供には西を渡る権利があるか?」でした。ええと、実際にはもうちょっと長く書いてあって、「森は人の子には閉ざされてしまったけれど、二人は元気にそれなりに忙しく生活していますよ、といった感じのお話」というのが主題だった、はず、なのですが、その後の一文にあった「二人の間の子供たちは西渡の権利を持っているのでしょうか? 一人くらいエルフの伴侶を得て西に渡る子がいても良いような気がしますけれど…」というのにヒジョーにときめいてしまい、なんかかなり脱線をしてしまいました。いや、転覆かな?
重ねて謝ります。ほんっとうに申し訳ありません。
しかし書いててものすごく楽しかったですよ。
本編からオマケ、あとがきまで休みの1日で全部下書きしましたから…
いかにノってたかわかろうというもの…
ところで、ヒロインとレゴラスの娘のお相手として(笑)双子を設定したわけは…わけは…他にいなかったから、です。や、オリジナルエルフ作ってもいいんですけど、できれば指輪に登場するキャラじゃないと面白くないなーと。
そういや私、エルラダンが兄、エルロヒアが弟、と書きましたけど、実際はどっちが兄なのかもよく知りません。書き分けとかも特に…
い、一応ほんのちょっとはしてますけどね。エルラダンの方がお兄ちゃんだからロヒアよりはしっかりしてるんです。これだけですけど。
と、娘たちのデフォルト名は現実にあって響きでエルフ語の意味の通るものをひねり出してみました。こういうの大好きです、私。しかし次女と孫はこれを書く三日前まで春日の頭の中に存在していなかったためかなり速攻で作らなくちゃいけなくて困りましたよ。
名前の意味は、
シルヴィアはSilvir
Silはシルマリルとかに使われているシルで「輝く」という意味。VirはMirの音変化したもので、ミアはボロミアとかファラミアとかに使われているのと同じ。ミアは「宝石」という意味です。
リリアンはRilian
Rilはシルマリルとかアンドゥリルとかミスリルとかのリルでこれも「輝く」ということ。ianはロスマリエンにも使ってます。
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