悩んで悩んで、メグにも付き合ってもらって色々お店を探してみたの。

雑貨屋さんで綺麗なペアのティーカップを見つけたときはこれだと思ったわ。


薔薇の花模様のカップとソーサー。ハンドルには羽を畳んだ蝶の飾りがついている。
エンジェルはよく薔薇の花を贈ってくれるから、お嫌いじゃないと思ったの。


ペアのカップをそのまま贈っても良かったのだけど、片方はわたしが持っていることにした。

これは、エンジェルには秘密よ。






◇   ◇   ◆   ◇   ◇





贈り物の箱をテーブルの上に置くようにいうと、エンジェルはすぐにレッスンを始めた。
すぐに感想を言ってもらえるのだと期待していたけど、それは無理みたいだった。

そういえば、エンジェルはどうやってこの箱を持ってゆくのだろう。
ふわふわと浮かび上がったりするのだろうか。
そうしたら、そこにエンジェルがいるとわかるのに……。




エンジェルが目の前に現れてくれたら、抱きついて、キスをしたいのに。









◇   ◇   ◆   ◇   ◇





『では、今日のレッスンはこれで終わりだ』
「ありがとうございました」

『ところで
「はい?」
『このカップはたしかペアだったと思ったが?』
「!」

わたしは驚いてテーブルに眼をやった。
すると、確かにテーブルにおいて置いたはずの贈り物がなくなっているではないか。

『おや、どうしたのかね、?』

笑いを含んだエンジェルの声。

「だって、だって、箱が……」

『これは私にくれたのだろう?』

「そ、そうですけど、でも、いつの間に……」

『ふふ……』




エンジェルは笑うばかりで答えてくれなかったけれど、喜んでいただけたようなので良かったわ。
でも本当に、いつなくなったのかしら……。