石造りの暗い通路に響くエンジェルの声。
わたしは彼に手を引かれて夢見心地で歩いていた。
どこで脱げてしまったのか、わたしの足は裸足で、持っていたはずの薔薇もない。
前を歩くのは身なりの良い背の高い男性だ。
顔は白い仮面に全体を覆われていて見ることが出来なかった。
きっとあの下には光り輝くようなお顔があるのだろう。


ひんやりした空気も、暗い通路も気にならなかった。
わたしの前にはエンジェルがいる。
それだけでわたしは満たされたのだから。

手を取られ、時には抱えられ、いつまで続くとも知れない闇の中をわたしはエンジェルに導かれた。

怖くはない。

わたしの前にはエンジェルがいるのだから。