キスは塩辛い味がした。
二度目にはエリックの身体を抱きしめ、一度目よりも長く唇を合わせた。
◇ ◇ ◆ ◇ ◇
唇が離れると、わたしたちは互いに呆然と見つめあった。
わたしの心には泉が湧き出るように愛情が湧きだしてきた。
それは徐々に勢いを増し、身体の隅々まで潤してゆく。
胸を震わす甘美なものではない。
激しく熱いものでもない。
だって、これは恋ではないのだから。
もう、わたしはエリックと共に生きることを迷ってはいなかった。