++ くつろぎの時間 ++



エリックが普段着ている服。
映画ではテイル・コート。もしくはフロック・コート。
上着を脱いでシャツの前を肌蹴たりとか。
はたまたマスカレードでの赤い衣装…。
そういえば、舞台版ではケッタイな柄のガウンを着てたりもしますね(笑)

しかし、ちょっと待ってください。これらはすべて外出着や部屋着の類です。
もっとプライベートかつ、重要なものがあるはずじゃないですか…?

エリックって、寝る時なに着てるんでしょうね。





寝る時の格好は?



候補としては3つあります。
1つはワンピースタイプのもの。
この当時、寝る時に着るものといったら、まずこれです。
英語ではナイト・ガウン。フランス語ではネグリジェ…と聞けばたいていの日本人が思い浮かべる形のものですが、この当時、ネグリジェは部屋着としての意味合いが強かったそうです。となると、うーむ、寝る時に着ていたのはなんて呼んでいたのだろう…。
とりあえず便宜上、「ワンピースタイプ」と呼ぶことにします。
男性も女性もこれを着るのが普通だったようです。
もちろん、男性用のは女性用のようにふりふりひらひらした飾りはついていません^^;
映画「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」の最後の方、滅びの山で使命を果たしたフロドとサムがゴンドールで目覚めた時に着ていたもの、といえばわかりやすいでしょうか。
まあ、アレも着ている人のせいか、ずいぶん可愛かったですが(笑)

2つ目は、裸。
はっきり言って趣味の問題、と言ってしまえばそれまでですが、もともとフランスを含めた中世のヨーロッパでは裸で寝るのが一般的だったとか。
それというのも、衣類というのが入手しやすくなったのは、19世紀の半ば以降。それ以前は服は非常に高価だった。
当然、寝る時のための衣類など無いに等しかったのです。
服(日常着)を着たまま寝ていることもあったそうですが、それではベッドが汚れてしまう…ということで裸で寝ていたのだそうです。
もちろん「オペラ座の怪人」の時代である19世紀後半にはそういった人は減ったでしょうが、それでもなぜかフランスでは他の国に比べて裸で寝る男性の割合が多いのだそうです。(多いといってもせいぜい1~2割ですが)

3つ目、パジャマ。
パジャマがヨーロッパに知られるようになったのは、1880年代のことだそうです。まずイギリスから広まったというころですので、フランスではもう少し後かもしれません。
が、恐らくエリックはすでに「パジャマ」と呼ばれるようになったものの原型を知っていた可能性が高いのです。
というのも、パジャマというのは、インドの男性用の衣服で「クルター」と「パジャマー」と呼ばれる上下式のゆったりしたものが原型になっているからです。。
クルターが上衣、パジャマーがズボンのこと。
原作ではエリック、インドに行ってるんですよね。パンジャブの縄の投げ方を習って帰ってきてますし(パンジャブ地方はインド北部にあります)。
えーそれとー、ネット検索してみたら、パジャマの語源として、パンジャビドレスからだ、という話も出てきました。ドレスとありますが、ズボン付きです。ですので、男女の違いというだけだと解釈してもよいのでしょうか。私が読んだ本にはインド発祥というくらいしかかいていなかったので、確認のしようがないのですが、そうなりますと、楽しいことがわかってきます。
パンジャビというのは、パンジャブ地方発祥の民族衣装なのです。
エリック…。知ってるよなー。絶対知ってるよなー。
広まり始めたのが80年代というのであれば、『彼女』がいる78年にはまだ店で売られるほどフランスでは知られてはいないでしょう。
が、エリックですから。
自分で作ったという可能性も否定はできない…。





ラウルの場合(追記)


上述で、
この当時、ネグリジェは部屋着としての意味合いが強かったそうです。となると、うーむ、寝る時に着ていたのはなんて呼んでいたのだろう…』
と書いてしまったワンピースタイプの寝巻き。何というのか判明いたしました。
シュミーズ、です。
この言葉、オペラ座の怪人の原書にも書いてました(汗)。
えーと、原作14章にはラウルの自室での場面があります。

そこで彼(ラウルのこと。引用者注)は寝巻きのまま飛びおきて、手探りで戸棚から拳銃をとりだし、銃を構えてガラス戸をあけた。(角川版243ページ)

ここ、原書ではこう書いてます。

Alors il courut, en chemise, à un petit meuble dans lequel il saisit à tâtons un revolver.

つーことで、ラウルの寝巻きとはシュミーズのことです。
トルソーのとこでも触れましたので、女性用下着の印象が強かったのですが、男女問わず着用されていたのだということがこれでわかりました。
上の文章、ワンピースタイプと書いちゃったとこ、直したいところですが、自戒もこめてこのままにしときます。





アンケートご協力のお願い(終了しました)


ここで皆様にお願いがあります。
エリックの就寝時の格好がどうなっているかを決めてしまいたいのですが、正直にいえば私にはどれもピンとこないのです。
どれも似合わないような気がして……(-_-;)
自分では決められないので、皆様のご意見をお聞きしたいと思います。
次ページにアンケートがありますので、ワンピースタイプ、裸、パジャマのどれかをポチっとしてください。

一番人気があったものを、当サイトでのエリックの就寝時の服装、とします。
(まだ話の内容とか目処が立ってないけど、決めてしまえばそれがきっかけでできるかもしれないし…/←こういうのを他力本願といいます)
よ、よろしくお願いしまーす。



アンケート集計結果

回答数31。

パジャマ 18票
ワンピースタイプ 8票
裸 5票

ということで、ここんちのエリックはパジャマを着ている、という設定に決定いたしました。


さて、投票と一緒にコメントをいただきましたが、面白かったものをいくつかご紹介しませう。

パジャマに寄せられたコメントには素材や模様などの希望がありました。
(白いの、バラ柄、シルクで……等)
しかし、特に私の琴線に触れたのがこちらのご意見です。

「エリックは寝込みを襲われてもすぐ動ける様な服装をしてそう(いくら罠が家を取り巻いていても油断はしない)。」
「ああいう生活なので常に非常時に対応できる服装かと……」

なんか、もう、これだけで話1つ作れそうなくらいの勢いで脳内物質が分泌されましたよー!
ようやく見つけた安住の地に二重三重どころでない罠を張り巡らせても安心して眠れなかったとしたら、それはとても悲しいと思いました。
どこまで不幸なんだ、エリック…。


お次のワンピースタイプはどうやら萌えの対象にもなっている模様です。
そ、そうなのかー。
あ、帽子つきで、というコメントもありました。
帽子って、三角帽みたいのかな…。
それともお風呂キャップみたいに頭全体包むような感じのかな…。


裸にはワイルドで良いとのご意見が。
ジェラルドファントムならそれもよいかも、と思ってしまいました。
聞いた話ですが、スコットランドの人って平気で肌を晒す傾向があるということなのですが(あ、といっても男はってこと。女は違うだろう)(といってもどこまで本当かは知らないが)あれだけのガタイの持ち主ならそれも絵になるだろうなあ。



● 最後に ●


アンケートにご協力くださった皆様。本当にありがとうございます。
せっかくですのでいつか「彼女」にエリックの寝室を襲撃させよーかと思います。
(「エリックが彼女を」ではなく、「彼女がエリックを」というあたりがここんちらしいと思う)





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参考文献:「ねむり衣の文化誌 眠りの装いを考える」
詳しくは参考文献リストをご覧ください。