彼女の足の怪我が回復してしばらくしてからのこと。
天気の良い日曜日に馬車を仕立ててブローニュの森に散歩に出かけた帰り、スクリブ街の入り口より少し離れた細い通りで馬車を降りた。
彼女と出かけるのはこれが二度目、そして私にとっては念願ともいえる出来事だった。
私はずっと結婚したら可愛い妻と散歩を楽しみたいと考えていたのだ。
もちろん
とは結婚したわけではなく、私の望みを教えてもいない。ただの自己満足である。
それでもこれほど穏やかな気持ちで太陽の下を歩けたのは生まれて初めてといってもいい。
彼女の心の強さと優しさに感謝するばかりだ。
☆ ☆ ★ ☆ ☆
「まだ?」
さりげなくあたりを見渡して彼女が尋ねてくる。
「……もう少し待つんだ」
私も様子を窺いながら答える。
秘密の入り口のある建物の前は日中は人通りが多く、とてもではないが馬車を止めて堂々出入りをできるようなところではない。
ただの通行人の振りをして、誰も見ていない隙を突いて通り抜けなくてはいけないのだ。
「ああ、ベルナール。お前はもう戻って良い」
「は、はい。先生」
視線はスクリブ通りに向けたまま、私はベルナールに命じる。
畏まって帽子を取る部下の気配を感じながらも、私は冷たく背を向けたままでいた。
この男は
とは違って(というよりもベルナールの方が普通なのだが)長年私に仕えていても一向に怯えている様子を隠そうともしないので、極力事務的な対応をするようにしている。まともな交流など、端から期待してはいない。
「それでは、失礼します……」
「今日はありがとうございました。ベルナールさん。機会がありましたら、またよろしくお願いしますね」
彼女は振り返り、頭を下げて礼をする。
ベルナールは嬉しそうに返事をした。
彼女がよくするこの東洋的な振る舞いは嫌いではない。しかし、
「礼を言う必要は無い。ベルナールはそれが仕事なのだ」
私は厳然と言い放った。
使用人に必要以上に尽くせば怠惰が生じる。
だから主人は厳しく監督するというのがこの時代の作法だった。
「何言ってるのよ。そりゃベルナールさんはあなたの部下かもしれないけど、わたしの部下ではないんだから、お礼を言うくらい当然のことだわ」
と、は意に介さない。
彼女にとっては化け物も使用人も、老いも若きも富める者も貧しき者も、すべて「人間」と一括りにされているのは間違いなかった。
そんな彼女であるからこそ、私は彼女に受け入れられているのだろう。だから私が彼女を否定するのは、私自身を否定するに等しい。
しかしこの時代にはこの時代の理屈がある。
少なくともベルナールにとっては女主人なのだ。彼女がどう思っていようが、主従の境をあやふやにしてはベルナールのような男はただ混乱するだけだろう。
そう、私が諭そうと口を開いた時、
「泥棒ーー!!」
けたたましい女の叫び声が遠くから聞こえてきた。
「泥棒?」
はどこから聞こえたのかときょろきょろする。
「よくあることだ。放っておけ」
特に関心もなかったので私がそう言うが、
「うーん、ちょっと遠いみたいだしね。向こうの方から聞こえたよね」
彼女は気になる様子で声のした通りに視線を向ける。
パリにはよくある店舗兼住宅の高い建物の間にある細い路地は、建物の影で昼間でも薄暗い。
そこへ彼女はふらふらと歩いて行く。
被害者と一緒になって、近くにいた正義感の強い連中が泥棒を追いかけているのだろう。「待て!」だの「泥棒!」だのといったの罵声が聞こえてくるから、そのうち捕まるかするだろう。
しかし近くで捕り物があっては、警官が来ないとも限らない。
そうそうに我が家へと戻らなければいけない。
「、もう行くぞ」
「あ、待って」
彼女が振り返ったその時、一際大きな声で「待ちやがれー!」という声がした。
気をとられた彼女が再度通りに目を向けると、焦ったような声をあげる。
「こっちに来るわ!」
「、戻るんだ!」
すでに複数の足音がこちらに向かっている。
「あ、うん」
さすがに不安そうな顔になった彼女がこちらに歩き出そうとしたその時、
「きゃあ!」
後ろから勢いよくぶつかられ、つんのめった。その拍子に手にしていたパラソルを取り落とす。
「!?」
「お嬢さま!」
転びそうになった彼女の背後から垢染みた腕が伸び、の腕と胴を掴む。
「何? 何? ちょっと……!」
混乱したは自分を掴む何者かを確かめようともがく。
男は三十の半ばほど、貧しい、というほどでもないが汚れた衣服を着ていた。肉体労働者らしい無骨なほど太い腕に無精ひげ、抜け目のなさそうな顔をしている。くたびれた上着のポケットは膨らんでいた。こいつが泥棒だろう。
「やだ、放して!」
「ちっ、東洋人かよ、お前」
を羽交い絞めにした男は、嫌悪も露わに吐き捨てる。
「気にくわねえなぁ。綺麗な格好しやがって。クルティザンヌか、ええ?」
クルティザンヌ――高級娼婦の意である。
男の侮蔑的な物言いに、私は一気に腸が煮えくり返った。
「貴様……。すぐに彼女を放せ!」
怒りに打ち震えて睨みつけると、男はびくりとひるんだ。
「なんだ、あんた……」
ようやく私の姿を認識した男は、怯えた眼差しになる。
だがすぐに小ずるそうな顔になり、ナイフを取り出して彼女の首に当てた。
「……っ。貴様!」
すぐにでも縊り殺してやろうと、懐の内ポケットに手を入れる。
そこにはパンジャブの紐をいつも潜ませているのだ。いつでも使えるように。
案ずることはない、。
私の腕は百発百中なのだ。
だが、できることならお前には目を閉じていてほしいが……。
しかし私の動きに気付いた男は強くナイフを押し付けたのだ。
「っ痛……」
の顔が苦痛に歪む。
レースの飾り襟が切れ、赤いものが滲んできた。
「おっと、動くなよ、仮面の旦那。この女が可愛いんだろう?」
いやらしい、勝ち誇った笑いが男の顔に浮かぶ。
「エリック……。ごめん」
涙目のがすがるように私を見つめる。
なんて事だ!
この私がこんなチンピラ相手に手も足も出ないなんて。
彼女を危険にさらし、一歩も動くことが出来ないなんて!
信じ難い屈辱だ!!
くそっ、私の視線に人を殺す力があれば、こいつを地獄の奥底に叩き落してくれるものを……!
「……動くんじゃねえぞ」
歯噛みする私に、男はを盾にしながらじりじりと動く。
その視線の先にあるのは私の馬車だった。
彼女を人質に、逃げるつもりだ!
「待ちやがれ! とうとう追いついたぞ……!?」
一際大きな声で路地から飛び出してきたのは、麺棒を手にした職人らしき男。
その後ろからは被害者らしい女が息を切らせつつ、よろけた足取りで現れる。
「あ、あたいの稼ぎは……? って、なんだい、これ!」
その後ろからも一緒になって追いかけてきた野次馬たちが二人、三人と現れ、この狭い通りは俄かに人で埋められてゆく。
上では騒ぎに興味を持ったアパートの住人が見下ろし、スクリブ通りからも何事かと集まってきた。
連中はコソ泥と羽交い絞めにされている彼女、それに仮面越しでもわかるほどの悪魔のような表情で睨みつける私に足を止め、興味津々と取り囲んだ。
いまや通りは彼らにとって格好の見世物の場と化している。
まずいことになった。
こんなに大勢の証人がいては、隙を突いて殺すことはできない。
「……」
自分の無力さに膝が震える。
身体中の血が怒りに煮えたぎり、握りしめた拳に爪が食い込んだ。
「エリック、大丈夫……大丈夫だから」
ああ、
! こんな状況でも微笑むなんて……!
「へっ、泣かせることをいいやがる」
男は鼻で笑った。
……こいつ、絶対に殺してやる!
「御者!御者!さっさと座りやがれ!」
「へ? 私ですか?」
野卑な命令にベルナールは一瞬呆気に取られたようになり、自分が話しかけられたのかと己を指差す。
「お前の他にどこに御者がいるってんだ。扉を開けるのを忘れるんじゃねぇぞ」
ベルナールは男と私を交互に見た。
脅迫に従うべきかどうか、決めかねているのだろう。
ベルナールが躊躇っていると、
「この女がどうなってもいいってのか?」
ナイフを引こうとした!
「……っベルナール、御者席に」
「先生……」
ベルナールはぺこりと頭を下げ、不安そうな顔つきで馬車の出入り口を開け、御者席に座った。
男はを引きずりながら後ろ歩きで馬車に向かう。
入り口を確かめるようにちらりと見上げ、
「随分とご立派なクーペだな。ま、俺が有効に使ってやるよ。……おっと、怖い顔だねぇ。俺よりよっぽど旦那の方が悪党に見えますぜ」
小悪党らしい捨て台詞を吐き捨てる。
「ちょっとあんた、いい加減にしなさいよ!」
しおらしかった彼女が怒りの形相で食って掛かった。
「うるせえんだよ! 黙ってやがれ!」
「っくうっ……」
男はナイフを彼女の顔に持っていった。
「!!」
周囲から息を飲む音が一斉に起こった。
このままでは彼女は連れ去られてしまう。
それどころか、身包み剥されてどこかに売られてしまうかもしれない。
いや、それならまだいい。
ドレスも宝石も、いくらでも新しいものを買ってやる。
売られてしまったのなら何が何でも買い戻してやる。
だが、もし口封じに殺されてしまったら……?
冗談じゃない!!
どうにかして足止めしようとあたりに視線を走らせる。
しかしめぼしいものは何一つ無く、いるのは役に立ちそうに無い群集ばかり。
拳銃があれば……。
私は自分の不用意さを悔やんだ。
拳銃さえあれば、ガラス越しにでもこの男を撃つことができた。
私のような風体の男がパンジャブの紐のような特殊な代物を使っては、野次馬どもはコソ泥ともども私を警察に突き出すだろう。
しかし、得物が拳銃であれば、私は恋人を奪われた哀れな被害者として立ち回る事もできただろうに。
子供の玩具だと常日頃馬鹿にしていたものを欲するとは我ながら呆れたが、さしもの私もオペラ座の外に出てしまっては全能ではいられないのだ。
どうにかしなければ……!
☆ ☆ ★ ☆ ☆
「んへっ!?」
がすっ。
「あがぁっ!」
「っせやぁ!」
ごしっ。
「うげっ……!」
……どすん。
……今、何が起きたんだろう。
男が後ろ向きに馬車に乗ろうとしてバランスを崩したように見えたが、が足を引っ掛けた、のか?
いや、それはいい。
故意でも偶然でもどちらでも構わん。問題はその次だ。
男がよろけたところで無理やり左腕を自由にすると、首にナイフを当てられたままの状態で平手打ちでもするかのように男の頭を扉の外枠に叩きつけたのだ。
そのときにした音が「がすっ」だ。扉も外枠も鉄で補強してあるので、あれほど勢い良くぶつかれば脳震盪を起こすだろう。
幸いなことにナイフは男の手を離れ、あらぬ方向に飛んでゆき、彼女もまた自由になった。
男はまだ片手を扉にかけて踏ん張ってはいたが、彼女は復讐はまだ終わらないとでも言うかのように、一旦男から離れた後、掛け声も勇ましく身体を低くし、鳩尾のあたりに肘鉄をめりこませる!
「ごしっ」っと鈍い音が聞こえた。
男はその衝撃で馬車の中に仰向け倒れこみ、そのまま動きを止めた。
「やったわエリック!」
ドレスの裾をさっと直し、満面の笑みを浮かべて彼女が駆け寄ってくる。
目の前で起こったことが信じられなかったが、彼女は無事だ。そのことのほうが大切である。
……何故こんなに手馴れた様子で男を叩きのめせたのかは、あとでじっくり追求させてもらうが。
抱きとめようと腕を広げたが、彼女は、
「借りるね〜」
と、私の手からステッキだけ奪い去り、すがすがしいほどあっさりと踵を返していった。
……!?
私はやり場の無い手にどうしたらよいのかわからず、呆然と立ち尽くす。
いや、そんなことをしているときではない、そのステッキはさすがに重いと思うのだが。
ひゅん、と空を切る音と共にはステッキを回転させる。
と、上半身が馬車の中にあるせいで引っかかるように間抜けな格好で伸びている男の方へつかつかと近づいて行った。
「うぅ……」
一声呻いて腹を押さえながら起き上がろうとする男の前に立ちふさがり、かつんとブーツの先を鳴らして昇降用ステップに足をかけ、はステッキの先を男の喉元に突きつけた。
「……っひい!」
軽く肘を曲げ、にこりともしない。このまま勢いよく突き出せば男の喉は確実に潰れるだろう。
「エリック、反対側を固めてくれる?」
「あ、ああ」
男から目を逸らさないよう、前を向いたままの彼女に声をかけられ、私はようやく我に返った。
……なんて不甲斐ないんだ、私は。
彼女を助けられなかったばかりか、こうして言われるまで補助することも考え付かなかったなんて。情けない!
それでも言われるままに馬車の反対側に周り、男を捕らえる事にした。さすがにそこまでするのは彼女には無理だろう。
後ろを通ったとき、思いついて荷留め用の縄を外した。
「何をすればいいか、わかるわよね?」
扉を開けると、目が据わっている彼女が男を詰問していた。
こんな彼女は初めてみるが、はっきり言ってかなりの迫力だ。
「な、何って」
「取った物を出しなさい。泥棒なんでしょ? あなた」
「ひいっ」
は軽く腕を伸ばす。ステッキの先はもう喉に当たっていた。
「さっきまでの威勢はどうしたの? 早くしなさい。……潰すわよ?」
低い声で囁く。
すごい。
私は完全に彼女に飲まれていた。
男が震える手で財布を彼女の手に落とすと(直接触るな、と彼女が言ったのだ。引き込まれるかもしれないし、何か武器になるもの、金属の破片やガラスの欠片などで傷つけられないとも限らないからだろう。相当場慣れしていると見た)、
「ベルナールさん、持ち主の方に渡して中身を確認してもらってください」
やはり男から目をそらさずにベルナールを呼ぶ。
「は、はい!」
すっかり度肝を抜かれていたベルナールは頓狂な声をあげて後ろ手に渡された財布を受け取り、群集の方へ向かう。
「これで全部?」
可愛らしく小首をかしげながら尋ねると、男は木偶人形のように何度も首を縦に振るだけだった。
自業自得ではあるが、ここまでくると哀れに思えてくる。
しかし、私は同情する気にはなれなかった。いまも彼女の首から流れる血が襟を染めているのだ。力任せに掴まれた腕には痣が出来ているだろう。私のに怪我をさせて、ただで済むと思っては困るのだ。
「いつまで私の馬車に乗っているつもりだ?」
「っひ!?」
男の襟首を掴み、そのまま地面に引きずり落とした。
「があっ!」
無様に転がった男の背を踏みつけ、手早く縄で縛り上げる。
さらに縄の先を近くの店の看板をぶら下げている横木に投げた。
勢いがついたそれは二回、三回と巻きつき、両手が動かない男には外す事はできない。
「しばらくそうしていろ。運がよければ被害者と野次馬に私刑にされるまえに警官に助けてもらえるだろうさ」
「そんな、ひでぇ……」
「先にその『ひでぇ』ことをしたのは誰だ?」
私はそれだけ言うと、男を残して立ち去った。
☆ ☆ ★ ☆ ☆
「エリック、ありがとう……て、あの……」
「すまない、。怖い思いをさせた」
の傍まで行くと、私は彼女の華奢な身体を強く抱きしめた。
良かった。生きている。
ちゃんと心臓は鼓動を打っている。
ここにいる。
私の腕の中に!
「いえ、その、だから言ったじゃない、わたしは大丈夫だからって」
は顔を赤く染め、困ったように眉を寄せる。
「ああ、そうだね。だけど驚いたよ。君がこんなに強かったなんて……」
はふふっと笑う。
「わたしたちこういうこと、話した事ないものね。わたしの家、古武術の道場をやってるの。だから小さい頃からわたしも武道を習ってたんだ」
コブジュツ……? 確か日本にはこちらでいう騎士のような階級でサムライというのがいたはずだが、それのことだろうか。
そう聞くと、とりあえず間違ってはいないと彼女は頷く。
「エリックの言ってるのは刀を使うもののことだと思うけど、わたしはそこまではいってなかったわ。危ないからって。わたしがやってたのは杖術と体術。でもここんとこ全然練習していなかったから、さすがに鈍ってたわ〜」
「……そうなのか?」
素晴らしく鋭い突きだったが。
「うん。ま、わたし、あんまり真面目な生徒じゃなかったから、もともとそれほど強くないんだけどね。だって、こんなの習ってたって、特に生活する上で役に立つもんじゃないじゃない。まあ、今回は初めて役に立ったけど」
は真顔で頷いた。
「ああ、そのお陰で私は君を失わずにすんだ。しかし君が強くないとは私には思えないのだが……?」
「そんなことないわよ。あの泥棒さんは素人だけど、男の腕力には叶わないしね。油断してたのもあるけど」
「それにしてはずいぶんと堂に入ったものだったが……」
「手加減できるほどの余裕がなかっただけよ」
あっけらかんと答えた。うーむ……。
「……ごめんね、驚いた?」
おずおずと彼女が見上げてくる。
「さすがにね。だがそのお陰でお前が連れさらわれずにすんだのだ」
「でもエリック不機嫌そうだけど。やっぱり武道やってるような女って、嫌だった?」
「そうじゃない。自分に怒っていたのだよ、私は。私がお前を守らねばならないというのに、私は手も足も出せなかったのだからな。情けない話だ」
私は頭を振った。
「なら、いいんだけど。……でも、あの、どうしよう?」
「何がだ?」
「このままじゃ、お家に戻れないよ?」
はた、と気付く。
周囲には相変わらずの人だかりが出来ていた。
仮面の男と東洋人の娘の二人連れとあって、近づこうとする者はいなかったが、前後左右すべて囲まれている。
当然、スクリブ通りに向かうなど出来ない相談だった。
隠れ家が知られてしまう。
「ベルナール!」
私はすぐに次の行動を決めると、の手を取り馬車に向かった。
「すぐにここを発つ」
「行き先は?」
「途中で伝える。それまではお前に任せる」
「承知しました」
しばらくここには戻れまい。
深夜になるまでどこかで時間を潰して人通りが絶えるのを待とう。
それでもこれだけ目立ってしまったのだ。しばらく外出は控えねばなるまい。なんてことだ。
☆ ☆ ★ ☆ ☆
その後、馬車の内で私は非常に甘美な苦痛を味わうことになるのだが、ここには記さないでおこう。
☆ ☆ ★ ☆ ☆
翌日。
案の定新聞の一面には彼女のことが取り上げられていた。
その見出しにはこう書いていた。
「サムライムスメ、現る!」
……頭が痛い。
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