「、さあ―!」
選べとエリックは怒鳴る。
「……駄目だ!」
エリックが縄を握る手に一層力を込めたので、ラウルはひどく苦しそうにうなる。
『あなたと生きます、エリック』
そう言わなければいけないのは明白だった。
それ以外の答えなどない。
だけど、そう言ってどうなるというのだろうか。
わたしの天使はもう消えたのだ。
砕け散った偶像は、二度ともとには戻らない。
たとえわたしがエリックのもとに留まったとしても、わたしたちの破綻は決定的で、幸福な未来など少しもありえないのだ。
「、もう考える時間は終わりだ。答えを―」
焼け付くような眼差しでエリックはわたしを睨んだ。
悲しかった。
彼に答えられないことが悲しかった。
「いやです」
決定的な一言は、どこから遠くから聞こえたように感じた。
