わたしは何を間違えてしまったのかしら。
よく見て御覧なさい、!
目の前で二人の男性がわたしのせいで傷ついているのだ。
二人とも。
二人ともによ!
ラウルは自分の命が失われかけているというのに、ただわたしを助けたい一心で必死になっている。
もしもわたしが彼の手を取って、早々に駆け落ちしていたら……。
それができないのであれば関わりをきっぱりと絶ってしまえていたら……。
こんな地獄の底のようなところで殺されようとはしなかっただろう。
その純粋な心が、真摯な眼差しが、失われるなど耐えられない。
それにエリックも……。
そうよ。
エリックの行動こそ不可解だわ。
だって、ここは彼の王国なのだもの。
わたしにわざわざ選ばせなくても、彼はラウルを殺せるはずなのだ。
わたしがエリックを選んだら、彼はラウルを解放するだろうが、嫌だと言ってもそれでわたしを解放したりはしないだろう。
ただ、ラウルが死ぬだけなのだ。
それは……彼の良心がまだ息づいていることを示してはいないだろうか。
自分を追い詰め、悪役に徹し、わたしに「エリックと生きる」と言わせることでラウルを救わせる。
そうしたらわたしはささやかな自己満足と共に地上のすべてを諦め、彼と生きることを承諾するだろう。
……おそらく。
わたしがこのことに気付きさえしなければ。
だけど、それではエリックが救われることはないわ。
