……わたしはラウルを助けたい。
もしも、わたしかラウルか、どちらかの命を差し出さなければいけないのであれば、わたしは自分の命を投げ出しただろう。
だけどエリックはわたしの命ではなく、愛と自由を欲しがっている。
だが、エリックを選んでも、エリックを愛することはできない。
心は自分の思うようには動いてくれないのだから。
それでも……。
彼を選べばラウルは死なない。
◇ ◇ ◆ ◇ ◇
さようなら、ラウル。
愛しい人。
たとえ二度と会うことができなくても、わたしの心はあなたのものよ。