わたしは水を掻き分け、エリックの傍へ進んでいった。


エリック……。
哀れな人。

あなたの選択はわたしを苦しめたけれど、こんなやり方しかできないあなたをわたしは許すわ。

歪んでいるのは心の方だとわたしは言ったけれど、それと同じくらいの優しさがあなたの中にあったことも、わたしは覚えている。

あなたを愛することができたら良かったのに。

そうしたら喜びに包まれて、わたしはあなたの前に立つことができたわ。



だけど、もう叶わなかったことを嘆くのはよそう。


わたしはあなたと共に生きます。





◇   ◇   ◆   ◇   ◇





腕を伸ばすと、エリックは一瞬前までの凶暴さがうそのように引き、思いもよらない事態にとまどったように身体をこわばらせた。
わたしは彼の首に腕を回し、顔を引き寄せて唇に自身のものを重ねる。