許してくださるの?
わたしのことも、ラウルのことも。
本当に?
……だけど、なぜ?
◇ ◇ ◆ ◇ ◇
「行くんだ、」
エリックの目に一瞬浮かんだのは、優しく愛しげな眼差しだった。
すっと指を伸ばす。
その先にあるのは、湖の岸で揺れる小船だ。
「エリック」
わたしは彼の心を読み取り、彼の感じているだろう痛みを思って涙を流した。
キスがわたしに大きな変化を与えたように、エリックにも変化を与えた。
彼のわたしへの愛情が減じたわけではない。
それどころか、今まで以上の大きな愛で、彼はわたしを送り出そうとしている。
光のある世界へ戻れと―。
彼は天使に戻ったのだ。
気高く、力に満ちた、輝く存在に。
わたしは膝を突いて祈りを捧げた。
これで最後。
これが最後。
夢の中で迷った子供は、あなたの導きで地上に戻ります。
