「お前と共に生きていきたい」
「光のある世界で」
「この孤独から連れ出してくれ」
「助けてくれ」
途切れ途切れに告げられる願い。
願っても叶うことなどないと諦め、封印していた想い。
今、彼の心から顔の仮面よりもしっかりと張り付いていたものが剥がれ落ちてゆく。
憎しみと怒りが洗い流され、あらわになった心に残ったのは、ただひたすらに希望を求めて伸ばされる手だ。
「うん。うん」
わたしは何度も頷き、抱きしめる腕に力を込める。
彼の手をちゃんとつかめるように。
わたしの涙とエリックの涙が混ざり合う。
「。愛している」
涙まじりの声で囁かれたとき、ふわりと胸の中に花が咲いた。
それは一つ二つと増えてゆき、またたくまに広がってゆく。
わたしはめまいを感じて目を閉じた。
エリックの声からは答えも見返りも求めない、ただ素直な気持ちだけが伝わってくる。
彼の愛情の深さに、その純粋さに、わたしはとうとう飲み込まれた。
もう、目をそらすことはできない。
「愛している、」
再び告げられた時、答えのかわりにわたしは彼に口付けた。
