身体が真っ二つに裂かれるように痛み、わたしは嗚咽を堪えきれなくなった。
その場に座り込み、子供のように膝を抱え、見も世もなく泣いた。

ごめんなさい、ラウル。
ごめんなさい、ラウル。
ごめんなさい……。


頭の中で繰り返されるのはただこの言葉だけ。
わたしにはどんな弁解も許されない。
ただ、あの真っ直ぐで優しいラウルを傷つけたことを一生抱えていくのだ。





◇   ◇   ◆   ◇   ◇





どのくらいそうしていたのだろう。
太陽はもう姿を消しており、オレンジ色の残照だけがわすかにアポロン像を照らしていた。
すぐに夜になるだろう。

戻らないと……エリックが心配するわ。

わたしはくすん、と鼻を鳴らしながら立ち上がる。
スカートの膝のあたりが涙ですっかり染みになっていた。

ハンカチを取り出そうと身体を曲げた時、わたしはとんでもないことを見つけてしまった。

「どうしよう、指輪がないわ!」