言ってくれ
私と共に分かち合うと
唯一つの愛を、一度きりの人生を
この孤独から私を連れ出してくれ
救ってくれ―
本来の歌詞とは違う言葉が彼の口からこぼれる。
外套の影に隠れて見えない顔は、今どんな表情をしているのだろう。
わたしを散々怯えさせた男は、わたしに向かって必死になって助けを求めていた。
エリックはゆっくりと左手の小指にはまっている飾りのない金の指輪を抜き取ると、わたしの手を取り、薬指にはめさせた。
拒むことも逃げることもしないでいるわたしの手を、祈るようにそっと絡める。
言ってくれ
私が必要だと
ここに。お前の傍らに
お前の行く道がどこに続こうとも
その同じ道を辿って行きたい―
エリック。
どうして来てしまったの?
警官がいることくらい、承知していたのでしょう?
破滅が訪れるのだと、わかっていたのでしょう?
あなたの熱情を捧げるだけの価値などわたしにはないわ。
怯えるばかりであなたにまともに向き合う勇気もない、こんなわたしには。
!
それが私の望む―!
それでも、もう引き返すことなど、できないのね。
わたしも、あなたも。
それならせめて、わたしの手で幕を降ろそう――。
(6):zephel
