しばらくぶりの遠出に身体の節々は悲鳴を上げていた。
マーク生まれの身であるため、馬は人並みに扱うことはできる。
しかし御し続けるだけの体力はない。
小さかった頃は当たり前の子供と同じく、いつか騎士になるのだと思っていた。
だが、子供から少年へ、少年から青年へと年経ても、グリマの身体はいっかな逞しい男のものには変貌しなかった。
気にしなかったと言えば嘘になる。
しかし決定的に傷つく前に、彼は独自の世界に逃れた。
グリマの父はマークでも高名な知恵者として王の相談役を務めていた。
その父の後を継ぐと宣言し、彼は知識の世界へ踏み込んだ。
懐深く、静謐なその世界は自分に合っている。青年だったグリマはそう思った。
力任せに剣を振るうことなど、マークにいる凡百の男になら大概できることだ。
だが、賢者は誰にでもなれるものではない。
そう悟ったグリマはマークの誰よりも、つまりは父を越えるほどの知識を求めた。
あれからどれほどの年月が経ったのだろうか…。
取り残されて
五日間の強行日程を成し遂げ、エドラスに帰りついたグリマはいつもの渋面をますます険しくさせた。
「あの小娘…」
門を抜けたので速度を落とした馬の背に揺られながら、頭上を睨みつける。
中天を越えた太陽の光に輝く黄金館の周囲には、いつになく大勢の人間が集まっていた。
館の右側には足場らしきものが組み上げられている。
その壁の内側は王の寝室がある場所だったはずだ。
まだ遠くて何を話しているのか聞こえないが、大声で言葉を交わし、のしのしと歩き回っている恰幅のいい男たちは石工だろう。
おそらく、王の部屋の改築をするつもりなのだ。
(本当にわかったのか、あの娘…)
グリマは心の中で一人ごちる。
忌々しい思いに腹の中が煮えたぎるようだった。
どこまで自分の邪魔をするつもりか。
手綱を握る手が憎悪と屈辱で震えた。
「これはこれはグリマ殿。お戻りになりましたか」
馬を厩に預け、階段を昇って黄金館の入り口に向かう途中慇懃な、その実、不審と腹立たしさを隠そうともしない声にグリマは呼び止められた。
「これは、エルフヘルム殿。この騒ぎは一体どうしたことでしょうかな?」
不快に思いながらもそれとなく流し、グリマはさぐりを入れてみた。
エルフヘルムは腕を組み、好ましくないとでも言いたげに顔をしかめる。
「陛下の寝室の壁を作り直すのですよ。というのも、我らが長い間ずっと案じていた陛下の病の原因は、陛下の寝室そのものに直に付いているのだと殿が言ったからです。若君は殿の説明に納得され、早急に壁を取り壊し新たに造りなおすようご命令されたのです」
「ほう?たったそれだけの理由で壁を壊すというのですかな。東の暗黒が強くなっているというこのときに。壊れているものを直すというのならばともかく、作り直させるとは…。エルフヘルム殿、なぜ殿はいい加減な娘の言に振り回される若君をお諌めなさらないのですか。わたくしが不在でなければ、このような暴挙は決して許可をさせませんでしたぞ。この栄光ある黄金館に、理由もなく槌を入れることなど、許されることではありませぬ」
呆れ果て、男のふがいなさをなじるようにグリマは不快感を露にする。
「それでも」
エルフヘルムはじっとグリマを見下ろした。
「もしも良い結果がもたらされるのであれば、やってみる価値はあると私は思う。なにしろ我らにはもう他の手は思いつかないのだから。あの娘の考えが当たっているか間違っているかはいずれ分かるだろう。だが、グリマ殿。貴殿に何か別の案があるというのであれば、我ら一堂お聞きいたしますが?新参の娘の言を取り入れ、重鎮である貴殿の話を聞かぬというのはいかにもおかしなことですからな」
の話を受け入れることに不満を覚え、グリマに知恵を求めているようではあるが、エルフヘルムの目は少しも和んではいない。小柄な黒衣の男の一挙一動を厳しく見張っている。
グリマはそんなエルフヘルムをじっとりした上目遣いで見上げる。
(王に忠告して撤回させるのは簡単だが、それをすれば小娘の言が正しいのだと思わせてしまうだけだ。得策ではない。しかし…なぜあいつにわかったんだ。いくらガンダルフの入れ知恵があったとしても。この私にさえわからなかったことなのに)
グリマは胸中で歯噛みした。
せっかくの策謀がふいにされたことに対する恨みはあるが、そればかりではない。
人間では自分だけが知っていると思っていた知識を年端もいかない娘が知っていたということに対する嫉妬も混じっていた。
セオデンが病に陥ったのは、グリマがアイゼンガルドに出入りするようになった後であった。ために彼はサルマンの指示を仰ぐこともできた。
しかしこの時はいずれ治るものと思い、取立てて何もしなかった。
病に倒れたとはいえ、それまでのセオデンは実に頑健であったのである。
この時グリマはサルマンの誘いに乗り、マークを我が物とするべく密かに奔走するようになって数年が経っていた。
魔法使いがマークを手中に収めたときには、彼に代わって統治する代理人の地位を約束されてのことである。
サルマンの野望は中つ国すべてを自分の支配化とすることであったが、グリマにはそこまでの野心はなかった。
彼が愛し憎んだ故国、マークさえ手に入ればそれでよかった。
そんなグリマにサルマンは彼がなすべきことを示した。
一つはグリマの影響力を宮廷内で高めること。
そしてもう一つは王家の人間、特に王位継承権を持つ男を排除してゆくこと。
最初の一つは造作もないことだった。
彼はすでに相談役として王の傍に控えていたのだから。
王の問いかけに、あるいはふとした話の折に、王が気分を好くするような甘い言葉を交える。またグリマにとって都合の悪いことは極力王の耳にいれないようにした。
マークの男は誇り高く誠実で、賢明ではあるが単純でもある。
周囲の人間にも気取られないように、王は徐々にグリマの言うがままになっていった。
なんて簡単なのだと、このときばかりはグリマも己が力量に酔いしれた。
だがもう一つのほうは一向に成就する様子はなかった。
王からセオドレドとエオメルという王位継承権を持つ二人の男を排除させるため、不信感を植え付けようと躍起になったが、セオデンの息子と甥に対する愛情は微塵も揺るがなかったのである。
そこでセオドレドとエオメルが互いに争い会うように仕向けようとしたが、それも無駄に終わった。
彼らの結びつきは非常に強かったのだ。
それどころか、彼は自分が非常にまずいことをしたということを認めざるを得なくなった。
すでに自分の言いなりになりかかっていた王と違って、若く壮健な二人の騎士はグリマを危険視しだしたからだ。
二人の疑念は王の病にも向かった。
なかなか良くならないセオデンの病は、グリマが何か手を加えたからではないかと疑ったのである。
それはグリマにとって濡れ衣もいいところだった。
このような疑いを掛けられたことに憤慨し、また、王が死んだらどうすればいいのかという思いからサルマンに覚えていることすべてを洗いざらい話した。
セオデンが死んでしまったら、エオメルはともかく、セオドレドを御すことは無理なように思えたのだ。
それどころかセオドレドが王になったら、グリマは宮廷から追い出されてしまうだろう。
だが、グリマの話を聞き終わったサルマンは愉快そうに笑いながら「放っておけ」と言うだけだった。
食い下がって理由を求めたが、白の魔法使いは嘲るように笑うだけで、要領の得ない答えばかり返してくる。
言葉の端々から壁紙に問題があるようだということだけはわかったが、どうしてそんなものが問題なのかは未だにわからない。
だから、が「わかった」といったところで、グリマにしてみれば「勝手にやっていろ」という気分だったのだ。
自分がわからないことが、マークの人間でもないにわかるはずがないと高をくくったのである。
だが、どうしてだかはわからないが、彼女は見事に謎を解いたようなのだ。
これが面白いはずもない。
「いいや、わたくしにはございませぬよ。陛下の病が普通のものではないとは思ってはおりましたが、その原因が壁にあるなど、どうしてわたくしが知りえましょう。それが正しいのかどうかはわたくしにはわかりませんが、まあ、ここは一つお手並み拝見と致しましょう」
グリマはそう言ってエルフヘルムの横をすり抜けようとした。だが、
「待たれよ!」
行かせまいと声を張り上げたエルフヘルムの覇気に思わず足を止める。
「…何か?」
「貴殿は会わなかったのか?」
「誰にです」
エルフヘルムは一拍置いてから重々しく口を開けた。
「黒の乗り手、モルドールの手の者よ」
グリマはさっと顔色を変えた。
「知っているようですな」
エルフヘルムは容赦なく問いただす。
「ではお聞かせ願おう、貴殿はなぜあれらと遭遇して無事でいられたのか。私の部下はみな殺されたというのに!」
グリマは蒼白になった。
知っている。
自分はその現場に立ち会っていたのだから。
だが黒の乗り手はグリマの味方ではない。
命があったのは幸運に過ぎなかったのだ。
その時の恐怖を思い出し、グリマは喘いだ。
「…剣を向けたからだ」
呟くグリマにエルフヘルムは怪訝な顔になる。
「お前の部下たちが殺されたのは、乗り手に武器を向けたからだ!あのようなものに人間が立ち向かえるはずもないのに!力量も省みず、馬鹿なことを!殺してくれと言ったも同じだ!」
エルフヘルムは絶句した。
「あれが探していたのは魔法使いだ。私は知っていることを話した。それで助かったのだ。モルドールはマークに執着しているわけではない」
「魔法使いだと?」
「そうだ。ガンダルフだ」
グリマがエドラスを飛び出したのは、サルマンのもとへガンダルフが来たことを伝え、今後の指示をもらうためだった。
ガンダルフの後を追う、というのは方便である。
しかし、途中でエルフヘルムの部下に追いつかれ、どう言いつくろおうかと思案していたところに乗り手が現れたのだ。
すぐさま戦闘体勢に入った騎士たちは瞬く間に地に倒れ付した。
次は自分の番だと思いつめた時、乗り手はガンダルフの行方を尋ねてきたのだ。
漲る恐怖を隠そうともせずに。
黒の乗り手は彼らにとって何か大事なものを探していた。それがなにかはグリマにはわからなかったが、乗り手はその行方をガンダルフが知っていると思っているようなのだ。
だからグリマは知っていることをそのまま話した。
二日前にエドラスを訪ねてきたが、馬を欲しがっていただけであり、北に向かおうとしているということしか知らない、と。
凄まじい恐怖にぶるぶる震えながらそうとだけ言うと、乗り手はすっと北に顔を向けた。
目深にフードを被っていたので、その表情はわからなかったが。
わかりたくもない、とグリマは思った。
殺されるか解放されるか、と戦々恐々としていたグリマに乗り手は別の質問を発した。
『ホビット庄とやらを知っているか』と。
グリマは無我夢中で答えた。
「し、知っております。サルマンはそこから嗜好品を取り寄せておりますので。そう、たしかガンダルフもよくそこに行くのだと言っておりました。サルマンはガンダルフの動向を探っていたのです!」
場所を教えると、グリマは地に頭をこすりつけ、命乞いをした。
知りたい情報を得たらしい乗り手はもうグリマに興味はないとばかりに去っていった。
後に残されたのは、物言わぬ騎士とグリマだけだった。
「なぜモルドールの者がガンダルフを探しているのだ」
訝るエルフヘルムにグリマは冷たく返した。
「そんなことまでは知らん。だがあの人騒がせな魔法使いのことだ。かの地で何かしでかしたのではないか?それよりもお聞きするが、まだ乗り手を見たという報告があるのですかな、エルフヘルム殿?」
グリマは探るように見上げる。
「…いいや。だから警戒は解いたのだ」
エルフヘルムの苦々しい表情にグリマは勝利を確信した。
「さもあらん」
言い捨てると苦悩しているエルフヘルムを残し、館の中へ入っていった。
まだ動悸がする心臓のある辺りを押さえ、彼はゆっくりと王の元へ向かった。
寝室の改築で王の病はじきに治ってしまうだろう。
だがセオデンは大事な駒。手放すわけにはいかなかった。
どうにかして今の状態を維持しなければならない。
特にあの娘、は要注意人物となった。
(始末、するか…?)
難しいことではある。
誰の目にも明らかに事故か病だと思われなければいけない。
少しでも疑われたら、弁解もさせてもらえずにセオドレドの剣の錆にされかねない。
王の息子を言いくるめることなど、自分にはもう不可能だと感じていた。
(まったく、面倒なことだ)
後方からバサバサと鳥の羽ばたく音がして、グリマは振り返る。
屋内だというのに鷲が入り込んできた。
それは昨日の夜からずっと見かけていた鷲のように思えた。
見かけていたというよりも、自分が見張られていたように感じていた。
忌々しく思って舌打ちをする。
と、奥から一人の侍女が姿を現した。
茶色の髪の異国風の顔立ちの少女である。
侍女が腕を肩の高さまで持ち上げると、鷲は慣れたようにその腕に止まった。
「お帰りなさい、グリマ殿」
にこりと笑う。
その少女の背後には背の高い男、セオドレドが付いていた。
グリマの背筋に冷たいものが流れる。
どう言いくるめようか、グリマは頭を大急ぎで働かせた。
面白くない。
エオメルは重い石を運び出す石工たちを眺めながら、燻っている不満を鎮めようとした。
モルドール軍が襲撃してくるかもしれないとアルドブルグに東マークに属する騎士たちを招集した。
そのまま戦いに突入するか、エドラスからの召集がくるかもしれないという先の見通せない状況を打ち破ったのは、宮廷からもたらされた知らせだった。
当面の危険が去ったので解散してよし、とのことだった。
ほっとした反面、エオメルにはどんなことが起こったのか知りたい思いが強くなった。
軍団長に任命されて始めての大戦になるのではないかと奮い立っていたのに、あっさりと片付いてしまったのだ。勢い拍子抜けしてしまう。
そしてエドラスに戻ってみると、自分のいない間にずいぶんと色々なことが起きていたことを知った。
ガンダルフが訪ねてきて一悶着を起こしたというし。
は伯父の病の原因を突き止めたというし。
またグリマはとうとう尻尾を出したと思われたが、決定的な証拠は出さなかったそうだ。
このあたりの騒動は自分も立ち会いたかったとエオメルは思った。
また、は魔法を使ったという。
この一件に関してはエドラスに残っていた騎士の評判は悪くない。
斥候として使えたら、という感想を漏らした兵もいたほどだった。
女を戦場に連れてゆくことはできないので、実現不可能だろうが。
そんな騒ぎのあれやこれやに自分は取り残されてしまった。
第三軍団軍団長としての務めがあるのは承知していたが、それでも後から話を聞かされるだけというのには少々寂しいものがある。
「はぁ…」
「どうした、エオメル?」
ぼんやりしていたところに声をかけられて反射的に飛び上がってしまった。
「あ、従兄上!」
「どうしたんだ、ぼうっとして」
セオドレドは弟を気遣うように見やった。
「あ、いいえ…」
エオメルは言葉を濁す。
「何でもないという風には見えないが?」
エオメルは苦笑した。この兄には敵わない。
「益体もないことを考えていたのです。エドラスで大事が起こっているときに居合わせることができなかったのが無念で…。私も伯父上や従兄上、それに妹の傍にいて力になりたかったのです」
拗ねたような表情は子供の頃と変わらない。そんな弟が微笑ましく、セオドレドは破顔した。
「気に病むことはない。それにお前はお前の務めを果たしたのだ。そのことに誇りを持て」
ぽんぽんとセオドレドはエオメルの頭に手を当てる。
子供の頃のように慰められて、エオメルは思わず苦笑した。
「時に、セオドレド」
「うん?」
「ベルーシエルというのは誰ですか?」
「ん?ああ…」
セオドレドはエオメルの問いに言葉を濁した。
グリマが魔法を使ったのことをこう呼んで罵ったというのである。
だがその「ベルーシエル」というのが誰のことを指すのか、知っている者はいなかった。
エルフヘルムやエオウィンもである。
「ベルーシエルはゴンドールの十二代国王タランノンの妃だ」
エオメルは目を丸くする。
「ずいぶん昔の人物なのですね」
十二代国王の時代となれば、二千年以上昔のことである。
そんな時代の、同盟をしているとはいえ他国の王妃のことを知っているセオドレドにエオメルは感嘆した。
「そのベルーシエル王妃は九匹の白猫と一匹の黒猫を飼っていた」
「猫好きなのですね」
頷きながら話の続きを待つ。
「猫たちはゴンドール中の秘密を探り、王妃に伝えたのだという。王妃は猫と話ができるのか心を読むことができたのかは知らないが、人の最も知られたくないと思うことを猫たちから聞き出したというのだ」
「………」
あんまりな内容に、エオメルは絶句した。
「もともとベルーシエルは王に愛されていない王妃だというが、このこともあって、民からも愛されなかったという」
「それで…その王妃はどうなったのです?」
セオドレドは複雑な眼差しを弟に向けた。
「タランノン王は猫だけを供として王妃を船に乗せ、北風に委ねて海へと流したのだそうだ。ベルーシエルの名は記録から消されたが、ゴンドールでは今でもベルーシエルの猫という言葉が残っているのだ。秘密を探り出す者として、な」
「…なるほど」
エオメルは硬い表情で頷く。
ようやくグリマがをそう罵った理由がわかった。
エオメルは見ていないが、の作った鷲は本物そっくりだったという。
鷲以外の動物の姿も取れるということだ。
ということははその気になりさえすればマーク中のあらゆる秘密を探り出すことができるのだ。
魔法の紙に野にいる獣のふりをさせて。
それはエオメルにも少なくない不快感を催させる。
ベルーシエルの意味を知らない他の者も、これを知ったらを排斥しようとするのではないだろうか。
今は好意的に取られているが、それはグリマという敵に対して力を使っているからだ。
「エオメル」
悶々と悩んでいるエオメルの肩にセオドレドは手を置いた。
「いいか、エオメル。に魔法を使えといったのは、この私だ」
「セオドレド…」
「私が使えといったから、は従ったんだ。使うなと命じれば、彼女はそうしたはずだ」
きっぱりと断言されて、エオメルは言葉を失った。
セオドレドらしい自信に満ちた物言いだったが、欲目があるという思いは否めない。
アルドブルグから戻って何に一番驚いたかといえば、セオドレドとの距離が傍目にもわかるほど進展しているということだった。
セオドレドは相変わらずだったが、そっけないと思えるほど淡白な反応をしていたの方は、初々しい様子を見せるようになった。
セオドレドが近づいたり、その手を握ったりすれば頬を赤らめ、困ったような顔になる。
纏う雰囲気も甘く優しくなったと思う。
二人の甘酸っぱいやりとりに、思わず目を背けてしまう騎士たちもいるほどだ。
(好きな男に言われたらその通りにするものだろうが…。しかし、これでいいのだろうか。いや、が本当にセオドレドを愛するようになったのなら、喜ぶべきことなのだろうが)
秋だというのに春が来た従兄を見ながら、エオメルは釈然としない思いを抱いていた。
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