石造りの大広間には静かな沈黙が漂っていた。
この場にはすでにアラゴルンとガンダルフ、エオメルと裂け谷のエルフの公子たちがそろっている。
本来ならばこの場には都の執政がいなければならなかったが、相次いだ不幸からそれは叶わぬこととなった。
デネソールは自ら炎の中に身を投じ、長子ボロミアは旅の途中に露と果て、次子ファラミアは生きてこそいるが、傷を負い、起き上がることが出来ない状態だった。
しかし、未だ知らしめていないとはいえ、王が戻ったのだ。
執政代理としてこの場にいる葛藤を押し隠し、イムラヒルは残りの会議参加者の到着を待っていた。










最終戦略会議










あとはアラゴルンが共に旅をしてきたというエルフとドワーフで全員そろう。
そうイムラヒルは思っていたのだが、金属製の高い扉の向こうからさらにもう一人が金色の髪のエルフに手を取られてやってきたので、おやと思った。
ガイアという初めて聞いた土地から来たという魔女の少女だ。
なにやら身体に障りがあるらしく、昨日入院したと聞いていた。
とはいえ今日の彼女はさすがに旅装ではなく、裾の長い簡素な部屋着姿だった。きっちり結っていた髪も下ろしている。そうなると可愛らしくも凛とした雰囲気は消えて、さらに幼く見える。
これで19歳か、と思いながらもイムラヒルは失礼ならない程度に眺めた。
ガンダルフがそろったな、と呟いた。あの少女も出席者のようだ。
そのことを自分とエオメル以外の者はいぶかしんでいないことをイムラヒルは不思議に思った。
普通ならば軍事会議に女性は出席しない。どれほど身分が高かろうが知識見識に優れていようが関係ないのだ。軍事は男の領域であり、そこにはたとえ執政妃といえど口出しはできないものだ。
、どうしてあなたがここに?入院していらしたのでは。お身体の具合は大丈夫なのですか」
エオメルが問うと、ガンダルフが代わって答えた。
「エオメル殿、それにイムラヒル殿、不思議に思うじゃろうが、この娘には会議に参加してもらわねばならんのじゃ。エオメル殿、わしはお主にこの娘が重荷を負うていることを話したな。それが何かは言わなかったが。今こそすべてを話そう。この娘は、指輪の魔力をその身に受けておる」
「それはどういう意味か、ミスランディア殿。指輪はわが甥にして新執政であるファラミア卿がヘンネス・アンヌーンで見つけているのですぞ。それを破棄すべく小さき人が二人、モルドールに向かっているというではありませんか。だというのに、この娘が指輪を持っているというのですか!?」
イムラヒルは色をなして叫んだ。
「指輪を持っているとはいっておらん。魔力を受けているのじゃ。さよう、指輪は小さきホビットの手によってかの暗黒の国に運ばれておる。ここに指輪はない。が、は少々変わった魔法を心得ておってな、指輪所持者を蝕む力を己に移すことができるのじゃ。遠く離れていようともな。この娘もまた指輪所持者といってよかろう。指輪を持たぬ、指輪所持者じゃ」
「指輪不所持者というところですね」
が言うと、血の気の引いた顔でエオメルが叫んだ。
「何をのんきなことを言っているのです!?正気ですか、指輪を――!」
「そのことに関しては、とうに議論は終わっています。今更解除できませんし、する気もありません。ただわたしは、わたしの無事を持って一縷の希望をお知らせすることができる。そのためにここにいるのだとご承知していただきたいのです」
エオメルの言葉を遮っては淡々と告げた。柔らかな茶色の瞳は静かな湖面のように揺るがない。
「無事…」
呆然と新たなマークの王は呟いた。は絶望におののくでもなく、恐怖に打ち伏してもいない。従容と現実を受け入れてただ静かにそこにいる。
誰にもどうすることができない、本来はけして分かつことの出来ない重荷、と以前ガンダルフはエオメルに説明した。
これでようやく腑に落ちた。あの時はサルマンと会う前だったからガンダルフは説明できなかったのだ。仮に話してしまったら、堕ちたりとはいえ未だ魅惑の声を持つかの魔法使いと相対して、口を滑らせてしまう可能性がある。ガンダルフはそれを避けようとしたのだ。

エオメルの身体は怒りで熱くなっていった。何も言ってくれなかったガンダルフに対してなのか、少しも自分を頼ってくれようとはしないに対してなのか、少女を止めようとしなかった金髪のエルフに対してなのかわからなかったが。
エオメルはの頭の上を通り越してすました表情で控えているレゴラスを責めるように睨みつけた。
「もしも私があなたが指輪不所持者になるかどうかの決定をする場にいたのなら、けして賛成はいたしませんでしたよ」
レゴラスはエオメルの視線に気付くと、すっと目を細め不快感をあらわにした。
ははにかんだように微笑む。無理難題を望む子供を眺めるような、そんな眼差しだった。
「諸卿よ」
ガンダルフは慈悲深いが厳しい眼差しで一堂を眺め渡した。
「わしらは次の行動を決めねばならん。じゃがその前に、ゴンドールの執政が死ぬ前にいわれた言葉を聞かれよ。『あんたは戦場のわずかな場所でほんの一日の勝利を得るかもしれん。だが今や勃興してきた強大なかの力に対する勝利はありはせぬぞ』わしは執政殿のようにあなた方に絶望せよとはいわぬが、この言葉にある真実をつらつら考えていただきたいのじゃ」
石造りの大広間は息遣い一つ聞こえないほど静まり返った。
「わが方の兵力は最初の襲撃を撃退するのにもかろうじて足りるか足りぬかじゃった。次の襲撃はさらに大規模のものとなろう。そこでの戦いにはデネソール候も気づかれておったように、決定的な望みはないのじゃ。勝利は武力によっては達成されぬ。ここに座したまま、次々に繰り出される包囲攻撃を甘受するか、あるいは大河のかなたに兵を進めて、圧倒的に優勢な敵軍にひとたまりもなくやられるかじゃ。悪しきもののなかからましなものを選ぶほかないのじゃ。思慮分別の教えるところにしたがえば、現在あなた方が持っておられる拠点を強化して、そこで敵の攻撃を待つのが得策ということになろう。そうすれば破滅に至る時が少しでも引き伸ばされるからじゃ」
イムラヒルはあごに手を当ててうなった。
「それではあなたはわれわれをミナス・ティリスに、あるいはドル・アムロスに、あるいは馬鍬砦に撤収させようというおつもりですか?そして潮が満ちてくる問いうのに、砂の城で遊ぶ子供たちのように。そこに座して待てといわれるのですか?」
ガンダルフはイムラヒルに向き直った。
「それは何も新しい考え方ではない。デネソール候の時代にはずっとそうしてきたのではなかったか?それ以上のことはほとんどしなかったのではなかったか?そうではないのじゃ。わしは思慮分別に従えばといったのじゃ。じゃがわしは思慮分別を勧めるのではない。勝利は武力によっては達成されぬとわしはいったのじゃ。わしは今なお勝利を期待しておる。しかし武力によってではない。なぜならどんな策を立てようとその眼目に力の指輪が登場してくるからじゃ。指輪こそバラド=ドゥア存立の土台であり、サウロンの希望なのじゃ」
ガンダルフは目だけ動かしてを見た。他の者も一斉に少女に視線を移す。
「諸卿よ、あなた方はこの品に関しては、われらの立場も、サウロンの立場も納得できるだけのことはもうすでにご存知じゃ。もしかの者がこれを取り戻せば、あなた方の勇猛心も空しいものとなり、かの者は迅速にして完全な勝利をおさめるじゃろう。その勝利の完全なることは、何人もこの世の続く限りそれに終わりがあるとは予測し得ないくらいじゃ。もしこれが消滅すれば、その時はかの者も滅びる。その滅びの全いことは何人もかの者がふたたび起き上がることがあろうとは予測し得ないくらいじゃろう。なぜなら彼はその勃興の初めから具わっておった力の最上の部分を失ってしまうからじゃ。
ところでサウロンはこのことをすっかり心得ておるのじゃ。また彼は自分の失ったこの貴重な品がふたたび見いだされたのを承知しておる。しかし、それがどこにあるかはまだ知っておらぬ。あるいはそうあれかしとわしらは願うのじゃ。そしてそれ故、かの者は今や大いに迷っておるところじゃ。なぜとなれば、もしわしらがこの品を見いだしておるなら、わしらの中にはこれを使うに足るだけの力を具えた者が何人かはおるはずじゃから。アラゴルンよ、あんたはオルサンクの石を用いて、あんた自身をかの者に示したと見たが、この推量は正しくはないかな?」
アラゴルンは眉を寄せ、険しい表情で頷いた。
「角笛城を出発する前にそうしたのです。指輪所持者がラウロスから東に向かって以来、その時までに十日が経過していました。それで私はサウロンの目を本国からそらさねばならないと考えたのです」
「しかし、もしあやつが指輪を所有すれば、すべては空しいものになるというお話ですが、かの者は、もしわれらに指輪がある場合、なぜわれらを攻撃することが無駄だとは思わぬのでしょう。指輪を使えばこの戦況はわが方に有利になるのではありませぬか?もちろん私はに今以上の負担を強いたいとは思いませぬが、こちらの乙女には扱えるのではありませんか?そうでなければガンダルフ殿が」
エオメルは解せないというように首をひねった。
「指輪はわしらには扱えぬ。あれは複数の主人によってではなく、ただ一人の主人によってのみ用いられるのじゃ。それでかの者はわしらの中の大いなる者の一人が他の者を押さえて、指輪の持ち主になるまでの権力闘争の時を待ち設けとるのよ。この間なら、もしかれが不意を狙えば、指輪は彼を助けるかもしれぬからな」
「それに、あれは結局武器ですから使いこなすには時間がかかります。剣や槍や弓を覚えるより早いということはけしてないと思いますよ。それらと違って持っているだけで心も身体も蝕まれていきますから、お勧めできません。わたしも使いたくはないです」
エオメルはぎくりと顔を強張らせた。
「あの、…本当に大丈夫なのですか?」
今さらだとは思ったが、尋ねずにはいられなかった。指輪の威力はここにいる誰よりも彼女が身をもって知っているのだ。穏やかな表情の下には筆舌に尽くしがたい苦痛があるのかもしれない。いや、ないはずがないのだ。
「エオメル殿」
どう答えたものかと思案している少女に代わってレゴラスが答えた。
は怪我したり憂鬱になった時でも大丈夫だとは言ったことはあります。どこまで本心なのかはわかりませんが。ですがこと指輪とサウロンに関する限りこの言葉は一度も聞いたことはありませんね」
彼の秀麗な顔には実に不本意だ、と書いているようだった。
エオメルはぎょっとして目を見開いた。
「すべてを承知の上で?」
「すべてではありませんけど…長引けば引き込まれるとは思っていました」
「引き込まれると?」
イムラヒルの声には硬いものが混じっていた。彼とエオメルはロスロリアンでの経緯を知らない。優しい少女が同情か、あるいは事態を軽く見て取った行動なのだと思っていたのだ。
「はい。あれは持ち主を変えてしまうものです。それも悪い方ににしか向かわないどうしようもないものです。おまけにこちらには対抗できないほど強力なんですから性質が悪い」
珍しく嫌悪の表情を浮かべてはき捨てるようには言った。
「あれを持って大丈夫でいられるひとはいないでしょう。それこそサウロン以上の力の持ち主でもない限りは対抗できても一時的なもので、遅かれ早かれ飲みこまれます。多分、そうなればある意味では楽になると思いますよ。抵抗し続けるのはきついですから。でも一度でも堕ちてしまえば、戻るのはもっときついと思います。染まりきるかあくまで拒絶するか、どちらかしか選べないのならわたしは拒絶する方を選びます。時間の問題だとしてもです」
「しかし…なぜそこまでしてくださるのです」
イムラヒルは軽い混乱状態に陥っていた。賢明な彼は指輪の力についてすでに充分理解している。
扱いきれない。
長年敵対してきたサウロンを滅ぼすため、ぜひとも指輪は破棄してしまいたい。
だが、実際はその力のために苦しんでいるのは小さい人と目の前の少女なのだ。
は心底不思議そうに首をかしげてイムラヒルを見やった。
「それは、敵と定めたものを前にした戦士にたいしてなぜ武器を持つのかと聞く類のご質問です。定められた役目だから、あるいはそうするべきだからだと答えるものがほとんどだと思います。その方々の中で危険を承知していない者がどれだけいるというのでしょうか。あるいは死ぬ覚悟を持たないものが。わたしも同じです。違いは得物を揮うかわりに術を編むということだけです」
当然のことのように少女は淡々と答える。
「同じだとは思えぬ。それは戦場の傷よりも更にひどい。あなたの傷はあなたが闇に飲み込まれるまで誰にもそうと知られぬということになるではありませんか。勇敢な魔女の姫君よ、あなたの覚悟はあまりに悲愴だ。うら若き乙女の塚山が築かれることを望む者などおらぬというのに」
哀れみを込めた眼差しでイムラヒルは息を吐いた。
はあいまいな笑いを唇に浮かべて肩をすくめる。
「この話はもう止めましょう。水掛け論になるだけですから。わたしはガイアでも同じようなことを何度も言われているんです。世間知らずのわがまま娘が意地を張ってるとか、でしゃばるなとか、女は男に守られていればいいんだ、とか。聞き流して終わりにしていますけどね。だって、女にだって両腕を一杯に広げて守りたいと思うものがあるんですから。それに幸いなことに、わたしにはそれができるだけの技量があるんですから」
少女は落ち着いた笑みを浮かべ、胸に手を当てて一歩後ろに下がった。
ガンダルフに軽く片目をつぶって、話題を変えるように合図する。
魔法使いは苦笑するように頷いてから、さっと表情を引き締めた。
「わしらがここで話している間にも、かの者はあれこれの徴候を調べとる。かの者から宝を奪った剣が鍛えなおされ、彼の最初の攻撃は思い設けぬ敗北に終わり、総大将は滅びてしもうた。かの者の疑念はいや増しておることじゃろう。かの目は今やわしらにむいておる。わしらはこの状態を維持してゆかなくてはならん。それゆえわしの助言はこうじゃ。わしらはいかなる犠牲を払ってもかの目を彼の真の危険から引き離しておかなければならぬ。わしらは武力で勝利は勝ち取れぬが、武力によって指輪所持者に唯一の可能性を与えることは出来る」
じっと聞き入っていたアラゴルンは一度目を閉じた。決意を固めるようにゆっくり目を開くと、彼は厳かに告げた。
「では、サウロンをせき立て最後の采を投げさせなければならないですな。彼の隠している力を誘い出さなくてはなりません。彼の国を空にさせるべく進軍しましょう」
「囮だね」
レゴラスが呟いた。
ガンダルフは杖をきつく握りしめ、睥睨するように見渡す。
「かの者はこの餌に喰らいつくじゃろう。わしらは百も承知でその罠の中に足を踏み入れなければならぬ。勇気を持って、じゃが助かる望みを抱かずにじゃ。なぜなら、多分わしら自身は生ある者の国から隔たった絶望的な戦いで全滅するということになろうからじゃ。そうなれば、たとえバラド=ドゥアが打ち壊されたにしても、わしらは生きて新しい時代を見ることはあるまい。じゃが、わしはこれがわしらの務めじゃと思う。とはいえ、たとえここに坐しておっても、わしらは間違いなく滅びる――それも新しい時代がけっして訪れぬことを知りつつ死ぬのじゃ。それを思えばまだこのほうがましじゃろう」
一同はしばらく押し黙った。
「われらは今や望みと絶望が相以ているぎりぎりの瀬戸際にやってきた。ためらうことは落ちることだ。どなたもガンダルフ殿の助言を拒まないでいただきたい。彼がおられなかったら、何もかもとっくに滅んでしまったであろうから。とはいえ、私は人を指図する権利をまだ主張しはしない。どなたもお好きなように選ばれるがよい」
アラゴルンがようやく口を開くと、彼の声は石造りの荘厳な大広間に力強く響いた。
「われらはこの目的を抱いて北方からやってきたのだよ。引き返したりするものか」
エルロヒアがいうと、エルラダンは美しい顔に微笑みを浮かべて頷いた。
「わたくしとしましては、たとえアラゴルン卿がそれを要求されようとされまいと卿をわが君主と思っています。卿の望まれることはわたくしにとっては命令にも等しいのです。わたくしも参りましょう」
イムラヒルも名乗りを上げる。
「私の場合はこういった深遠な事柄にはほとんど知識を持ち合わせませんが、それは必要ありません。わが友アラゴルンが私とわが民を助けてくださったこと、これで充分です。それゆえアラゴルン殿が呼ばれる時には、私はアラゴルン殿をお助けします。参りますとも」
エオメルは晴れ晴れと言い放った。
「わたしも行くよ。はなれ山の名誉のために、何であろうと一役持ちたいと思っていたんだから」
ギムリはふんぞり返って腕を組んだ。
「そして私は大きな森の民のために」
レゴラスは歌うように告げた。
「白の木の王のため、白き鳥の乙女のため、滅びの山へ向かう小さき人のため、私も行こう」
決まった、とアラゴルンとガンダルフは顔を見合わせた。
そこにおずおずとエオメルが口を開いた。
「あの、、今回ばかりは残ってくださるのでしょうな」
「それはもちろんです。ここに残った方がわたしも粘れますから」
「本当ですか?」
「本当です」
「本当ですね?」
「本当ですよ」
確認というよりも念を押すように繰り返すと、エオメルはようやくほっと息を吐いた。
「安心しました」
「信用がないんですね、わたし」
苦笑するに、
「いえっ、そういうわけでは…!」
慌てたように両手を振って顔を赤らめるエオメルをイムラヒルは微笑ましく思った。
猛々しくも情け深い若きローハンの王の初々しい様子に思わず笑みがこぼれる。
もしも絶望的といわれるこの戦いが良い結果に終わった場合、あの乙女はローハンへゆくのだろうか、とふと思った。
エオメルがに引かれているのは目に明らかで、そのことを少々残念に思った。
イムラヒルはアラゴルンを己が主と仰ぐ一方、エオメルを同盟国の主として、また若き騎士として気に入っている。こんな時ではあるが、愛する娘を任せるに足る人物だと思ったのだ。
が、娘にもエオメルにも無理強いするつもりはない。
イムラヒルは少女に並んでいる金色の髪のエルフに目を転じた。彼はいかに若く見えようとも自分の何十倍も長い年月を経てきた存在だ。たかだか数十年しか生きていない自分が読める相手ではない。そうは思うが、星明りのような深く明るい青い目には紛れもない嫉妬と不安と諦観が入り混じっていた。そしてそれはエオメルに対して注がれている。
形の整った唇は固く結ばれているが、若々しく華やかな雰囲気があるので仏頂面には見えないのだが。
(…色々難しいのだな、彼らも)

ガンダルフが咳払いをした。
大広間に静寂が広がる。
最終戦略会議は大詰めに入った。





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