「もうすでにご存知のようですが改めて報告いたします。私は貴公のミコであると婚姻をいたしました。つきましては彼女の護り手であるヴァロマ殿のお許しをいただきたく存じます」

ゆらゆらと揺れていた青い瞳の焦点が合わさる。
レゴラスはすっと息を吸うと一気に告げた。

「イ・ヤ・だね」

間髪いれずにヴァロマは舌を出して断った。










保護者の権利










一通り挨拶も済み、それぞれが席に着いた。
部屋の主はアラゴルンであるはずなのだが、長椅子に座り、を隣に侍らせているヴァロマが場を仕切っているのは誰の目にも明らかだった。
緊張の中にも和やかな雰囲気があった部屋の空気が、今や一触即発といったぴりぴりしたものに変わっている。
ヴァロマは元々を迎えに来たのだ。礼を言った以上、すでに用を果たしたといえる。何事もなければこのままを連れて帰り、そしてすべてが終わっていたはずなのだ。
しかしの承諾を得た上で、とはいえレゴラスはかなり強引にと結婚してしまった。
市井の男ですら結婚する娘の親に許しを得るものである。だがヴァロマとは親子ではなく、一応夫婦だったのだ。形式上のものだと両者共に断言していたが、間にある愛情は疑いようもなく揺るぎないものだ。
しかしレゴラスとてに恋い慕われている自信はあった。
彼女を確実に我が物とするために、彼はヴァロマの許しを―あるいは裁きか―を受ける必要があった。
嫌なことはさっさと済ませるに限る。
レゴラスは胸中でそう呟くとすっくと立ち上がり、まっすぐヴァロマを見据えて口を開いた。
ガンダルフやガラドリエル、ケレボルンといった長い年月を生きている歴々は泰然としていたが、残る面々ははらはらとした表情で二人のやりとりを見守っていた。
レゴラスの申し出があっさり却下されると、アルウェンは己の身に起こったことのように悲しそうな表情になり、エルロンドは厳めしい顔に戸惑いの色を浮かべた。
彼も一度は娘とアラゴルンとの結婚に難色を示した。エルフの血を引いているとはいっても死すべき人の子のアラゴルンに、人の血が混じっているとはいえエルフの命を持っているアルウェンを添わせることは娘のためにならないと考えたからだ。それを受け入れるということは、愛するものとの永遠の別れを意味する。それはひどく辛いことだった。
だからヴァロマの反応も当然のものとは思いながらも、必死の様子で立ち尽くす森の同胞の息子を不憫に思った。
「待って、そういう態度ってないでしょう!?」
半眼で舌までだしたヴァロマを咎めるようには睨みつけた。やはり半眼になっており、本人たちが気付いているかどうかはわからないが非常によく似た表情だった。
しかしヴァロマは少女の抗議を取り合わず、レゴラスに目を向けたまま、淡々と告げた。
「…と言いたいところではあるが、わたしも自ら立てた誓いには従わないわけにはいかん。姫がわたしの巫女になる際に行った誓約は、この子がただ一人の相手を見つけるまでの間の伴侶をわたしがつとめるということが一つ、これは巫女の数があまりにも少ないので、半神のおらぬ巫女とみると無体な真似をするものもでてくるからで、それを防ぐためだ。わたしはわたしの同族たちの中でも低からん地位にいるので、非常に有効な牽制になる。もう一つは自由の保障だ。心も身体も一切わたしは束縛しない。わたしには先見の力や、奇跡と呼ばれる事柄をなす力、破壊し、癒し、育む諸々の力を備えている。この子を風にも当てぬよう一切の危険、わずらわしきことから遠ざけることくらい造作もないし、そうしてあげたいという思いを何度も抱いた。この子に限らず、人の子は見ていて危なっかしいからね。だが、それでは人であろうとそれ以外の種族であろうと、成長というものをしなくなってしまう。万の忠言よりもただ一度の実体験のほうがよほど身に沁みることがあるのは、ここにいる者すべてに思い当たろう。だからこれは、わたし自身に対する戒めだ。この二つの誓いによって、おと姫は君と結婚する権利があるし、わたしにはそれ自体を止めることができない。なぜなら、この誓いにはガイアでのみ履行されるべしとも、伴侶はわたしの同族もしくは、人の子であるべしなどという条件はなんらつけていなかったからだ」
「……それでは」
呆然とレゴラスは呟いた。
「いいの、ですか?を私の妻とすることを、許してくださるのですか?」
ヴァロマは腕を組み、唇を斜に曲げた。
「さて、そうなると姫、そなたの答えがすべてを決しよう。撤回は聞かないからそのつもりで答えなさい。わたしと共に帰るかい?」
は力が抜けたように肩を落として、じっとヴァロマを見詰めた。
少しの間があいてから少女は小さく首を振る。
「帰りたいわ。うちが懐かしくてたまらない。お父さんとお母さんに会いたい。友達のみんなとも…。でもレゴラスと別れるのはもっと嫌なの。ごめんなさい、ナセ。勝手に決めてしまって。あちらでの十九年間、わたしは幸せだったわ。だけど、どうかわたしたちの誓いに免じてわたしをここに残してください」
は椅子から立ち上がってヴァロマの前にひざまずいた。
「レゴラスと生きることを許してください」
見上げる少女をヴァロマは憮然と見下ろした。
「先見の力があろうとも、すべてを知ることができるわけではない。おと姫がこちらに行ってしまうと知っていたら、だれがこのような間抜けな誓言などするものか。許したわけではない。だが、認めざるを得ない」
はそっと口を開いた。
「だけどあの誓いをガイアの外の世界でも適用させるかは、ナセの心ひとつだと言うことも知っているわ。無効にすることもできたでしょう?そうしなかった、それで充分だわ」
少女はヴァロマの膝に額を落とした。
「ありがとう」
レゴラスもヴァロマの前まで歩み寄ると、膝をついて頭をたれた。
「ありがとうございます」
ヴァロマは軽く肩をすくめると、レゴラスのあごをつかんで上を向かせた。
「ただし、君がおと姫の夫としてふさわしいか試させてもらう。これはガイアであろうとアルダであろうと娘を持つ保護者の権利というものだ」
「もちろんです」
ヴァロマの眼差しに挑戦的な光が宿っているのを見て取り、レゴラスは表情を引き締めた。





ヴァロマは袖の内側から取り出したものをテーブルの上に置くともう何も持っていないというように手の平を上に向けた。
そこにあったのは小さな透明なビンと糸が巻きつけてある錘(つむ)だ。
ビンは透明で手の平に載るほどの大きさだった。中身の液体も透明である。
錘に巻きついている糸は一色ではなく、さまざまな色合いを持ち、星が瞬くように輝いていた。あまり量はない。
「…これは?」
ヴァロマの向かいに座って、これらの品を検分したレゴラスはこれをどうしたらいいのかと目で問うた。
「そなたはこれをお飲み」
ヴァロマはビンを取りレゴラスの前に持ち上げた。中身の液体がわずかに揺れる。
「中身は何です?」
胡散臭いと言いたげに、はビンに手を伸ばした。ヴァロマはそんな少女を制してレゴラスの前にビンを置く。
「中身は何?レゴラスに何をさせる気なの?ちょっと、レゴラス、飲んじゃ駄目だってば。毒だったらどうするの!?」
ビンを手に取ったレゴラスに、少女は慌てて制止をかける。しかしレゴラスもさすがにすぐに飲む気になったわけではなく、中身を確かめるようにビンを振っただけだった。
「毒などではないよ。失礼だなあ」
そんな二人に、ヴァロマは心外だと鼻を鳴らす。
「本当に?」
「これを飲むとどうなるんです?」
同時に口を開いた二人に、ヴァロマは苦笑を漏らした。
椅子の背もたれにゆったりと背を預け、指を組んできろりと睥睨する。
「眠くなる」
「それから?」
が先を促す。
「そして夢を見る。その夢の中で、そなたは何かを失う」
「……」
レゴラスは無言でビンに視線を落とした。
「なに、話は簡単だ。ゴンドールの王妃のように、そなたはそなたが持つ恩寵を失わなければならないということだ。わたしはこちらの世界に長くはいられぬ。だからそなたにあれをせよこれをせよと言ってそなたが何かを成し遂げるのを待つわけにはいかない。もとよりこちらの世界のどんな宝といえども持ち帰ることはできないし、興味もない。また、そなたがこの世界の誰よりも大きな功名手柄を持っていたとしても、このわたしを納得させることはできないと思いなさい。わたしはそなたが非常に気に食わないし、できればこの手で痛めつけてやりたいのだが、いくら姫の姿をしているとはいえ、わたしの力で殴ったら間違いなく死ぬからね。ガイアの外の領域で、そこの生き物に危害を加えようものなら『わたしたち』の間で戦争が起こりかねない。それは二つの世界に滅びをもたらすだけだ。だからそれだけはわたしも回避するように努めている。わたしが中つ国に下りるにあたって、ヴァラールが要求したのもそこだ。地上に下りることを認める代わりに、わたしは一切の力を行使してはならないということを誓ってきた。ここにあるのも彼らに調べてもらい、使用を認められたものだ」
ヴァロマは物騒なことをさらりと口にしたが、レゴラスはかえって[彼]の態度に得心がいった。やはり何かを企てているのだ。恩寵を差し出す覚悟は既にできている。[彼]もそこは見越していたようだ。おそらく真の目的は夢の方であろう。果たしてどれほどの悪夢を見せられるのだろうか。
「はっきりと言ってくださってありがとうございます。私をそれほどお嫌いなのにどうにもできないというのではさぞお腹立ちでしょう。これくらいでお気が晴れるのでしたら、いくらでも付き合いますよ」
皮肉を込めて返すと、が眉をしかめた。
「気晴らし、だなんて…。ナセが口にしたことだけがすべてではないわ。まだ何か言っていないことがあるように思うもの。これだけですむとはとても思えない、安請け合いはしないほうがいいわよ」
「だけど、結局恩寵を差し出すだけで良いのでしょう?それならばとうに決着のついていた問題だ。不死であることに未練はないよ」
レゴラスはに微笑みかけた。
「そうそう、失敗した場合、おと姫は連れ帰るのでな」
ヴァロマの発言にレゴラスは目を見開いた。
「なっ…!」
「ただ恩寵を差し出すだけで済むはずがなかろう。わたしは試させてもらうと言ったはずだ。すなわち試練。となれば失敗する可能性もあるというもの。ああ、姫。そなたの場合も同じだからな」
急に話を振られては戸惑った。ヴァロマは口元に微笑みを湛えている。
「わたしは何をすればいいんです?」
「これを」
すっと錘を指差した。
「好きに処分おし」
「……は?」
はきょとんとして大きな目を見開いた。
「そなたはガイアの生まれ。本来の定めは変わらず向こうに残ったままだ。それにこちらにも人の子がいるが、ガイア生まれのそなたには、やはり水が合わない。はっきり言ってしまえば、本来持っていた寿命は、ただこの世界にいるだけでずいぶん短くなってしまうのだよ。その上指輪に関わってしまった。指輪の傷跡は今でもそなたを蝕んでいよう。これはアルダの内にいる限り、わたしにはどうしてやることもできない。ガイアに戻るのならばこの程度の穢れを祓うことなど造作もないのだけれどね。だがそなたは帰郷を断った。なれば最低限の後始末くらいは自分でつけなさい。この錘糸には姫の命運がすべて詰まっている。これをどうするかはそなたの自由としていただいた。ただし、そなたが世界を超えて生きるための方法は一つしかないよ。それ以外の扱いをしたならば、その時点でそなたはガイアの理から逃れることはできなくなるからね。機会は一度きりだ」
自分とそっくりな姿で微笑みを浮かべたまま抑揚のない声で話す片割れを、は不安げな眼差しで見つめた。温かくも冷たくもない大きな茶色の瞳には、そんな自分の姿が映っている。
「…力は使わないと誓ったって、言ったじゃないですか」
居たたまれなくなり、は顔をそむける。
「これも、そっちのビンの中身も、それそのものが効力を持っているもの。ビンの方には多少手を加えたが、わたしが今ここで力を揮ったわけではないし、揮うわけでもない」
だから問題はないと言外に告げた。は言葉に詰まって恨めしそうにヴァロマを上目づかいで見あげた。
ヴァロマは顔をしかめての顔を両手で包んで上向かせる。
「ひとを上目づかいで見てはいけないと言ったでしょう。物欲しそうに見えます。品がない。見あげるなら見あげるで、顔ごと上げなさい」
「っはい!」
反射的には背筋を伸ばした。立ち居振る舞いのほとんどはヴァロマに仕込まれたものだ。
「…じゃなくて、いえ今のはわたしが悪かったんですけど。とにかく、この錘糸をどうにかすればいいということなんですね?」
不意に子供の頃によくされた説教をされて、沈んだ気分が吹き飛んでしまった。は気を取り直してヴァロマに向かい合う。
「そう」
ヴァロマは相変わらず意図の読めない笑みのままだ。
多分、とは考えた。
(何か企んでるんだろうけど、いくらここで問い詰めたところで白状するとは思えないわね。そういうひとだってことは知ってるけど。でも嘘は言わないから、正しい対応っていうのが必ずあるはず。でも、あれだけのヒントじゃ、何をどうすることもできないわね)
レゴラスの方を見ると、彼は不安でたまらないという表情になっていた。青い瞳は揺らぎ、いつもはぴんと上向いている葉っぱのような形の耳が、心持ち下がっている。
の視線を追って、ヴァロマはレゴラスを一瞥する。レゴラスはヴァロマと目が合うと気圧されまいと睨むように目に力を込める。
「飲まないのか?まあ、それでも構わんが」
が試験に失敗したら、貴方は彼女を連れ帰るのでしょう?」
「無論」
「では、彼女の結果を見てからにします」
「好きにしなさい」
ヴァロマはにべもなく答える。
「彼女の手助けをしても?」
「好きにすればいい。それがそなたにとって不都合な結果に終わっても、わたしの知ったことではないが」
「……」
これでは手出しするなと言われたようなものだ。口惜しげに唇を噛むレゴラスに、は落ち着くように目配せをした。
「ナセ、質問です」
は生真面目な表情で片手を軽く挙げた。
「駄目」
「まだ何も言ってません!」
「ヒントはもう充分言った。これ以上は答えられない」
「あれのどこが?」
抗議の声をあげる少女に、ヴァロマは頬に手を当てて考え込んだ。
「では最後にひとつだけ。そなたはこれを見たことがあるよ。そもそも、そなたが知らぬものを出しても仕方がなかろう?」
「……」
そうまで言われては引きさがらずを得ない。ヴァロマが知っていると断言したのならば、やはり自分はこれを見たことがあるのだろう。
は首をかしげ、ため息をつき、しかしそれでは埒が明かないので、よく見ようと手を伸ばしたが、ふと思いついて寸前で止めた。
「これ、触っても大丈夫?」
「これ以上は答えられないといっただろう」
ヴァロマの答えは簡潔だった。
「ああ、もう!」
は頭を抱えた。
「失礼。よろしいかしら?」
ガラドリエルが立ち上がり、錘を手に取ると休めてあった糸端を取り出し、するすると伸ばしていった。
「なんだか、変わった糸ですわね」
アルウェンが呟く。
「既に染まっているけれど、だんだん濃くなっていくわけでも薄くなっているわけでもない。白の次に青。桃色かと思えば金色。一色の長さもそれぞれ違う」
ガラドリエルはの目の前に引き伸ばした糸を捧げ持った。手に取ってみるかと目で問う。
は首を振った。
「ありがとうございます、奥方様。どうかそれはそのまま置いてくださいませ。わたしは、やはり触るのはやめておきます。指に刺さって、百年眠り続けることになるやもしれませんもの」
「…これって、そういうものなの?」
レゴラスが不思議そうに聞いた。
「そういうお話がガイアにあるというだけのことよ。錘を見たら思い出しちゃったの。だけどさすがにそれはないと思うわ。分かりやすすぎるもの」
「ふうん。でも、百年も眠っていたら、死んでしまうんじゃ」
「ううん、それは大丈夫。お話の中では、錘が指に刺さった時から魔法で時間が止まってしまうのよ。このお話はお城が舞台になっているのだけど、場合によってはお城にいる人全員が一緒に眠ってしまうのよね」
「それは…遠慮させてもらいたいな。これからやらねばならないことがたくさんあるのだから」
の説明にアラゴルンは苦笑した。
「そうだね。でもレゴラスはエルフだから百年待つくらいはなんてことなさそうだがね」
ギムリが言うと、レゴラスはその通りだと頷いた。



その場にいた人々の緊張がこれで一気に解け、その後はこの糸がどういったものであるか、どうしたらよいのかという見解をそれぞれ述べていった。
エオウィンが、これで何かを作ればいいのではないかというと、こんな派手な糸だったら絨毯か壁掛けくらいしか使い道がないとアルウェンが言う。いやしかしその前に量が全然足りないとファラミアが言えばエルロンドが、糸をこのように染めることはできないのだから、何かをつくるのではなく、なにかに使われていた糸で、そのときに色づけられたものをほどいたのではないか、と口にした。
会議のような厳粛な雰囲気はなく、むしろ喧々囂々としている。
そんな中、じっと座ったままだったフロドがそっと席を立つと、ヴァロマのそばまで歩み寄って、一礼をして見上げた。
「あの…」
「どうしたのだね?」
「さきほどのお話は…の傷は癒えていないと…」
「ホビットというのは、まことに愛すべき種族だね」
上手く離せないでいるフロドの言いたいことを汲み取って、ヴァロマは目を細めて微笑んだ。
「そなたが気に病むことはない。誰にもどうすることができないのだ。そなたは指輪の傷を感じることは今では少なくなっているはずだろうが、それはそなたがホビットだからだ。
ホビットは強靭な種族だからな」
「だけど、が指輪を請け負ったのは、僕たちと関わってしまったからです。本当なら、はあんな目に遭うことなんてなかったはずでしょう?は旅を続けたいなんて、少しも思っていなかったんです。ただそうするしかないって、思いつめて…」
フロドはぎゅっと服の裾を握り締める。もっと言いたいことがあるのだが、目に熱いものが溢れ、それ以上続けることができなくなった。
「それはそなたも同じであろう?あれを葬り去らねばならぬと知ったとき、そなたは自分が行きたいと思ったか?あれに関わりたいと望んだのか?」
「…いいえ!」
フロドは大きく頭を振った。
ヴァロマはフロドの小さい頭に手を置く。
「どうにもならぬことというのは、わたしにとってもあるのだよ」
その声には哀しみが宿っており、フロドははっとして顔をあげた。
しかしヴァロマは相変わらず微笑みを浮かべている。「哀しい」と思う心を持っているとはまるで見えなかった。
それが完全なる永遠を持つが故だとしたら、永遠とは思うほど良いものではないのかもしれない、とフロドは思った。







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