結局、贈り物を決めるのに一週間もかかってしまった。

朝のドレスの上にマントを着て、プレゼントの箱が見えないように隠した。
寮から楽屋に移動するだけなのだから、マントを着るのは不自然なのだけど。

喜んでもらえるかしら……





◇   ◇   ◆   ◇   ◇





『おはよう、
「おはようございます。エンジェル」
いつものようにエンジェルの一声で、楽屋は天国の音楽堂になる。

「あの、エンジェル!」
わたしはエンジェルが『練習を始めよう』と言い出す前に思い切って切り出した。
『どうした?』

「実は……エンジェルに贈り物が……」

『贈り物?私に?』

エンジェルの声はいぶかしんでいた。

「教会や礼拝堂で祈りを捧げる方がずっといいんだってわかっているんですけど、地上の物なんてエンジェルにふさわしくないのだって、わかっているんですけど、でもわたし、もう祈るだけなんて嫌なんです。どれだけエンジェルに感謝しているか……、エンジェルに支えられてどれほど幸せか……、もっともっと伝えたいんです」
受け取るとも受け取らないとも言われないうちに、わたしは一気にしゃべりだしていた。
『落ち着くんだ
「あ……」
エンジェルの声が耳のすぐそばで聞こえた。
嬉しさと恥ずかしさでわたしは棒立ちになってしまった。
『可愛いことを言ってくれるね。もちろん受け取らせてもらうよ』
「エンジェル……」





わたしはマントに包んだ贈り物の箱を取り出した。
用意した贈り物は……





マドレーヌよ     ティーカップよ