ローハンの軍制 :軍事 (終わらざりし物語)

マークの軍団長は軍の最高位で、王の副官(原則的に三人)かつ、完全武装し訓練をつんだ騎兵からなる王国軍の司令官の称号です。受け持ちは、第一軍団はエドラスと近隣の王の土地、第二軍団(軍団長はセオドレド→エルケンブランド)は西マーク一帯、第三軍団(軍団長はエオメル)は東マーク一帯となっています。第一軍団長は、指輪物語の時点ではいないようです。というよりセオデンが健在であれば彼が指揮をしたらしいですが、はら、グリマがいたから…。この頃のローハンは、近衛隊長ハマや軍団長たちへの命令もグリマの口を通して命令される習慣になっていて、そのことに皆憤っていたけれどエドラス内では命令を守っていました。サルマンとの戦が始まると、戦いに関する限りではセオドレドが命令なしに総指揮を引き受け、彼が討ち死にした後の西マークの総指揮も、エドラスからの命令を待たずにエルケンブランドが引き継ぎました。(このあたりのことは「アイゼンガルドの浅瀬の合戦」の章に全部書いているんですけど、ここのところを読んだとき、ああやっぱりなーと思いました。この頃のセオデンはグリマにいいように操られていたから、ローハンのためになることはなんらされていないだろうなあと指輪物語を読みながら思っていたもので。
でも、グリマが怪しいということは皆わかっていただろうから、セオデン以外の人物がどうにかするしかなかったのだろうとは思っていましたが…ローハンの危機は兵の数うんぬん以前の問題だったんですね。エドラスにいる兵の数も足らなかったみたいですが)
さて、続きをば。
戦時や穏やかならざる時には、軍団長は直接の指揮下に「家の子郎党」(軍団長の家に武装して寝泊りする)としてエオレドの一隊を自らの裁量で役立てるよう戦闘態勢を整えさせていました。エオメルがアラゴルンたちと会ったときがこれです。エオレドというのは正式に訓練を終えていて、任期いっぱい、あるいは特別な場合には任期なしで王軍としてのつとめを果たす騎兵に対して用いられる言葉で、大将を含めて最低120人からなり、王の供回りをのぞく全マーク召集騎兵の百分の一と規定されています。こうなると単純計算で一万二千の兵がローハンにはいた、ということになります。もっとも、アイゼンの浅瀬の合戦(セオドレドが討ち死にした合戦のことです)やらそれ以前の戦いで失われていた人員もいたので、実際のところはもう少し少なかったでしょうが。こうなると、映画での角笛城合戦の三百対一万という構図にはいささか首を傾げてしまいます。悲壮感を出すためとか、エルフの援軍を登場させなきゃならなかったということがあるにしても、もう少しローハン兵がいてもよかったんじゃないでしょうか、PJ。



地名について :補足 (終わらざりし物語)

本文でわたしは「マーク」と「ローハン」を一緒に使っています。言うまでもなくこの2つはおなじことを指しているので、どちらかに統一したほうがいいだろうとは思っていましたが、映画のアラゴルンもマークとローハンを一緒に使っていたので(「ローハンの騎士たちよ。マークの地で何があった?」吹き替え版)そのままにしました。原作を読む限りでは、どうもマークの人たちは自国のことを「マーク」と言い、そうでない人は「ローハン」と呼んでいるという印象がありました。たしかにそうらしいのですが、マークの人でも「ローハン」ということもあるそうなので、まあ、いいかと。(「日本」と「ジャパン」みたいなもんですかね)
あ、それから「エント森」と「ファンゴルンの森」の表記についても同様です。



今後の展開について :徒然なるままに書くこと

今回までは映画準拠できましたが、次回からはエオメル以外は原作準拠で展開します。つまりエオウィンをはじめとするエドラスに住んでいる非戦闘員は角笛城には行きませんし、ヘルム峡谷に着くまでに5日かかったりしませし(そしてアラゴルンは行方不明になったりしません・笑)、エルフの援軍は来ません。
原作ではエオメルは追放ではなく投獄されていますが、彼にはこのまま北に向かって突っ走ってもらいます。



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