1911年1月2日(月) 12月の手紙は、遅れに遅れて月が変わってから届いた。 今、それを読み終わったところである。 クリスマス・プレゼントとして送った、白いイブニングガウンは気に入ってもらえたのかと、ずっと気になっていた のだ。 この時期ならば、必要になるだろうと思って。 それに、一度目にジュディにドレス類を送った時は私が選んだものではなかったから、どうしても私自身が選ん だドレスを送りたかったというのもある。 マクブライド家での日々は、ジュディを大いに感化せしめたようだ。 マクブライド嬢は兄妹が多いようで、両親もそろっている。温かな家庭生活を体験する、絶好の機会になったよ うだ。 おまけにクリスマスなのだから、通常の滞在より遙かに楽しかったに違いない。 しかし…今回の滞在には、意外な落とし穴があったのかもしれない。 ジュディはもしかしたら恋をしたのかもしれないのだ。 相手はジミー・マクブライド。サリー・マクブライド嬢の兄だ。 現在はプリンストン大学の三年生ということだから、 手紙には、ジミーに恋をしたと書かれているわけではない。 だが、ジミーというのはハンサムな男のようだし(なにしろジュディがそう書いてきたのだから、少なくとも彼女 の目にはそう映っているのだろう)、追記に、自分が将来作家にならずにただの娘になってしまったら、ジョン・ スミス氏は気を悪くするかという問いが書かれてあったのだ。 これで気付かなかったとしたら、私の頭はとんだ欠陥品だということになるだろう。 無論、作家というのは才能ありきの世界であって、なろうと思って努力すれば必ずなれるというものではない。 才能があっても、時宜が合わなかったり、作風が受け入れられなかったりすることもあるだろう。 その時は他の職業につくことも、もちろん家庭に収まる事だって、ありえることだ。 だが、まだ作家になるための修行を始めて、それに大学に行き始めて二年も経っていないではないか。 結論を出すのは早すぎると思うのだが。 まずは学業を修めることが先決だと思う。 ![]() ![]() ああ、くそ!インクが落ちてしまった。 少し冷静になれ、ジャーヴィス・ペンデルトン! そもそも、ジュディが恋したかもしれないことで、どうして私まで動揺する必要があるのだ。 ジュディだって年頃の少女なのだから、そんなことだってあるだろうさ。 結婚のことだって、ひとつの可能性として考えているのであって、すぐさまそうするわけではないだろう。 それに、ジュディくらいの年の娘で、恋や結婚のことを考えないものがあるだろうか。 心配のしすぎだ。 だが、気になることは気になる。 |