1913年9月4日(木) ジュディからの手紙が届いていたのだが、開封する気になれなくて放置していた。 彼女の頭の中のスミス氏ならば、本当に彼女からの手紙など適当に放っておいて、時折、ほんの気まぐれを起 こしたときにまとめて読むのだろう。 だが、現実には、私は十分もたたずに手紙のことを思い出してしまい、一体中にはなんと書いてあるのか、気に なって仕方がなくなっていたのだ。 だが、そこに何が書いているのか薄々想像がつくだけに、開くこともできない。 なぜなら、ジュディにはスミス氏へ伝えるに格好な話題を持っているからだ。きっと彼女はこの夏、『例の、何度 も手紙に書いたことのあるあのジャーヴィー坊ちゃんがプロポーズしてきた』のだと、いつもの調子で書いていの だろう…。 私に望みがないことがはっきりした以上、いつまでもぐずぐずと未練がましくしたいとは思わない。 だが、あの過ぎ去った夏の日の間抜けな自分を時間差で見せつけられるのも我慢できないのだ。 だから、この手紙は読まずに捨てようと思った。 何度も何度もそう思った。 だが、できなかった――。 五日も悩んだ。だが、ずっと気にし続けるくらいなら、手紙を読んでしまったほうがいい。 そのあと、手紙をゴミ箱へ投げ捨てるか、びりびり破いてしまうか、燃やしてしまうかは、数分後の私が決めて くれるだろう。 とにかく、私は迷うことに疲れたのだ。 私の心配は、杞憂に終わった。 ジュディはジャーヴィス・ペンデルトンにプロポーズされたことなど、一言も記していない。その話題は、何週間も 雨が降らず、暑くて仕方がないということよりも書くに値しないと判断したのだ…。 私の価値など、その程度でしかなかったのか? 冬になったら、マクブライド嬢が行くというボストンに行きたい、だって? ああ、ボストンでもどこでも、勝手に行ってしまえばいい!誰が止めるものか!! |