1913年9月22日(月) ジュディのことを忘れたい。もう、彼女のことはすべて秘書に任せてしまおう。 事務的にすべてを処理してしまえば、いつかこの胸の苦しみも薄れるだろう。 とにかく、私には時間が必要だ。この成就しなかった愛を思い出に変えてしまうだけの時間が。 …なんだか、寒気がする。 少しでも彼女から遠くに離れようと、カナダへ行ったが少しも楽しめなかった。 社交界は言うに及ばず、何もない平原を車でふっ飛ばしても、いつもの爽快感はない。 猟に出ても、鹿一頭しとめられなかった。それどころか、気付いたら雨が降っていて…今の私の気分にぴったり だとそのまま一晩あてどなく歩いた。 そのせいだろうが、風邪をひいてしまった。 失恋した男というのは始末におえないものだな。何をやっているのかと、我が事ながら呆れてしまう。 もういい。ニューヨークへ帰ろう。どこへいても辛いことに変わりはないのだから…。 24日 ジュディからの手紙が届いていた。 だが、もう読むだけの気力がない。 |