ここまで聞いて、私はジュディが私との結婚をやめようとしているのかと思ってしまった。

    しかし、話はまだ終わっていなかった。

    

    昔、スミス氏への手紙に書いたと思ったが、ジョン・グリアでの思い出を締め出してしまえば、自分は他の娘たち

   と変わらなくなるだろうと考えていた。だが、そうしようとしたばかりに、自分はジャーヴィスを失うところだった。

    人にはそれぞれ、触れられることが辛いことの一つや二つはあるものだ。自分にとっては、それは孤児院だった。

    だけど、ただ隠していたって、何の解決にもならない。辛くなくなったりだってしないものだ。

    だからもう、ジョン・グリアから逃げ回るのはやめにした。自分はあそこが嫌いでたまらなかった、かつてのジル
   ーシャ・アボットと共に祭壇に立つつもりだ、と。

    

    「何か古いもの」というのは、祖先から伝えられたものを引き継ぐという意味があるという。祖先でこそないが、

   ジュディは自分の過去を自分の一部と認めると宣言したのだ。決別するのではなくて。

    この決意に、私は何も言葉を発し得なかった。

    ただ彼女を抱きしめ、賛意を示すのが精一杯だった。

    私の愛した人は勇敢な人なのだ。そのことを誇りに思う。





    さて、肝心の結婚式のことだが、たくさん写真も撮ったし、式の進行など他の人びととそう変わるものではない。

    よって、ここでは省略する。

    ただ、花嫁衣裳をまとったジュディはとても美しかったとだけ記しておこう。

    それからその後のことについてだが――

    私としては感銘を受けたことがないわけでもないのでその感動を残しておきたい気持ちもないではないのだが。

    さすがに細部の描写なかずんばその意を正確に記せることとも思われず。

    私は自分の日記を青少年に有害なる図書の一つにするつもりはないのだ。

    よって、こちらも省略することにする。





  


























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