今日は屋敷中が慌しかった。 私もまだそわそわした感じが抜けきらない。何かやることがあるのではないかと思ってしまうのだ。 まあ、そうは言っても医者でもない男が役に立つことなどないのが出産というものだが……。 今日の午後、無事に女の子が生まれた。 午前中のうちに医者を呼んだのだが、陣痛が来たからといってすぐに生まれるものではないのだな……。 痛みの波が来たときには、彼女はひどく苦しがっていて、私も何か力になってやりたかったが、せいぜい手を 握るとか側にいるくらいしかできなかった。 まったく無力だった。 結局、出産が始まってから、私は部屋の外に追い出された。周りをうろつかれると邪魔になるというのである。 私は夫なのに! 次に部屋に入れたのは、赤ん坊の泣き声がしてからだ。 最初に目に入ったのは、かなり赤くなっているシーツ……。 どんな苦しみが彼女を襲ったのだろうか。想像するだけでこちらも痛くなりそうだった。 ジュディに近付くと、額は汗ばみ、髪は乱れていた。それでも意識はあって、私に気がつくと誇らしげに微笑 んだ。 私はそんな彼女にキスをした。 看護婦が赤ん坊を産湯で洗い、肌着にくるむと、ベッドの隣に持ってきてあったベビーベッドに寝せた。 本来なら子供部屋に連れて行ってナースに面倒を見させるのだが―出産直後で疲労している母親に子供の 世話をしろというのも酷なことだからだ。まあ、ナースや女中を雇う余裕がない人々は自分で面倒を見るしか ないのだろうが―ジュディがぜひそうしてほしいと頼んだので、そうさせた。 そして夜。そろそろ就寝の時刻である。母親と子供は一緒の部屋にいるが、父親は蚊帳の外だ。 さすがに疲れている彼女と一緒のベッドを使うわけにはいかないので、私は別の部屋で当分を過ごすこと になる。 小さな子供には母親が必要、とはいえ、少し寂しいものである。 |
「あしなが〜」の時代よりも一昔か二昔になるのですが、「インガルス一家物語」では、ローラが出産したときに、どうも
クロロフォルムかなんかを嗅がされての無痛分娩をしたような感じの描写がされていました。
というか、気がついたら子供が生まれていた、見たいな感じ。
……帝王切開だったのかな?
この時ローラが暮していたのは、開拓されてそれほど経っていないような地域だったと(読んだの、ちょっと前なのであやふやなのですが)。
鉄道は普及しつつありましたが、人も物も交流するのに時間がかかるあの時代で、
なのにわざわざ通常分娩をしていないということは、あの時代は↑みたいなやりかたが一般的だったのではないかな、とちらりと
思ったのですが、さてジュディの時代はどうだったのかなぁ。