この話は途中でアンケートがあります。その結果次第で続きが決まるので、良かったら参加してやってください。(すべて終了しました)

注意点:前提条件として、マスターが大学二年の夏休み以降の時期になります。季節はアンケートの結果次第で変化する可能性があるので、もし春の話とかになったら、そのときのマスターは三年生になったりしています。どうなるのか、管理人にはさっぱりわかりません(汗)
 なぜこの時期なのかはネタバレにもなるので反転文字で書いています。ネタバレOKな方だけ反転してください。→カイトと恋人同士になったから。なのでマスターはちょっとツン度が下がっている(ハズ)です。
 ……まあ、反転しなくても読んでいるうちに気付くとは思うけどさ(汗)



♪・♪・♪





 チャイムが鳴ったので掃除の手を休めて俺は玄関に向かった。郵便です、という声が向こうからしてくる。
「はーい、すぐ明けます」
 ドアスコープをさっと覗いてから、俺はドアを開ける。書留だというので、受け取りのサインをした。
「ご苦労様でした」
 礼をしてから玄関を閉めつつ、俺は差出人を確認する。
「なんだったっけ、これ」
 知っている企業名だが、俺は懸賞に応募するのは日課となっているものだから、どこ宛に何を応募したかまでは覚えていられないのだ。だいたい三日に一度は何かが届くくらいだし。
 今日のこれは、薄い茶封筒ということからして、金券系だろう。厚紙のような感触もしているし、台紙に固定されているんだ、きっと。
 俺ははさみで封筒の頭部分を慎重に切り取った。中身ごと切ってしまったら大変だからね。
 中には折り畳まれた手紙と紙製のケースが入っていた。手紙を開けると、よくある当選おめでとうメッセージと一緒に、内容物が記されている。
「えっと、なになに……」


「ただいまー」
 夕方になって、マスターが帰ってくる。夕飯の支度をしていた俺は、すぐさまマスターの方へ駆け寄った。
「お帰りなさい、マスター。聞いてください、今日すごいことがあったんですよ!」
「ん、何?」
 俺の勢いが強すぎたようで、マスターは後ろにのけぞるような体勢になっていた。倒れたら大変なので、彼女の肩を抱いてまっすぐに戻す。
「あやうくマスターを玄関にぶつけるところでした」
「カイトがすっ飛んでくるのはもう慣れてるから、平気よ。それより何があったの、やけに興奮しているじゃない」
「ああ、実はですね……と、先に中に入ってください。こんなところで話すのもなんですし」
 マスターのパンプスを脱がせようと腰をかがめたところをやんわり止められ、いたずらめかした笑顔ででこぴんされる。
「わたし、ミルクティーが飲みたいな」
「すぐに入れますから、鞄を置いてきてくださいね」
 あっさりかわされたことを苦笑して受け流すと、俺は紅茶を入れる用意をした。


「んで、どうしたの?」 
 部屋着に着替えてきたマスターにミルクティーの入ったカップを置く。俺もついでに飲もうと、料理はしばし中止することにした。というよりも、カレーなので火を弱めて煮込んでいればいいだけなのだ。
「これを見てください!」
 俺はマスターに当選の手紙を見せる。
「また何か当たったんだね。今度は……え?」
 マスターの表情が固まる。
「旅行券十万円分!? すごいじゃない、カイト」
「はい、今まで当たった金券では最高金額ですよ」
 俺はガッツポーズをした。それから身を乗り出してマスターに懇願する。
「せっかくだし、旅行に行きましょう、ね、ね、マスター」
「旅行?」
「そうですよ、予算は多少オーバーしても大丈夫です。俺、少しは貯金もありますから」
 余った食費やアイス代、それに懸賞で当たったものの使わないだろうと判断した使用場所が限られている商品券などは金券ショップで換金して、貯金箱に貯めている。これらのお金は元をたどればマスターの生活費から出ているのだけど、頑張って節約したりしているのは俺なのだからと、彼女は返金を受け取ろうとしない。貯まった額はまだ少ないが、旅行券と合わせればどうにかなるのではないかと思うのだ。
 マスターはあっけにとられたような顔で俺を見つめてきた。さすがに強引すぎただろうか。だけどこんなことでもなければ旅行に行こうなんて誘えない。二人分の旅費を捻出するのは、俺には難しいのだ。だけど俺だって、俺だって、『恋人と旅行』なんてイベントの一つもしてみたい!
「イヤ、ですか?」
 反応がはかばかしくないので、俺は肩を落とす。マスターはそんなことないよと頭を振った。
 彼女は照れたように微笑む。
「カイトはわたしと一緒なら幸せ〜、とか言うから遠出をすることには関心がないと思っていたのよ」
「それは事実ですが、それとこれとは別ですよ」
「そうなんだ。じゃあせっかくだし、旅行しようか。どこか行きたいところはあるの?」
「行きたいところ……」
 気になる場所ややってみたいことは色々あるけれど、俺にとってはマスターと一緒であるということが第一であって、ここにすごく行ってみたい、というものはないのだ。
 よく宣伝で見かける遊園地へ行って、ホテルで一泊とかでもいいし、海や山へ行ってキャンプなども面白そう。あまり人が多くないような観光地へ行ってのんびりするのもいいし、近場で思いっきり遊ぶのもいいな。
 そうだ、俺はマスターとデートがしたいんだ。一日だけでは終わらない、数日がかりのタノシイコトを。
「マスターは行きたい場所の希望はありますか。俺だけの希望じゃなくて、マスターの希望も知りたいです」





アンケートの結果


目次  結果を踏まえた続き