1911年1月9日(月)
    ジュディからの手紙が届いた。

    話題はもちろん私のことでほぼ占められていた。

    子供染みた感想だと思うが、大変気分が良い。

    今回の手紙にはジミー・マクブライドの名が一つも書かれていなかったし、それに私のことも好男子だと書かれて

   いたので、繰り返して言うが、大変、気分が良い。

    しかし、それも手紙の後半を読むまでのことだった。

    もしかしたらジュディは私がジョン・スミスだということに気付いているのかもしれない。

    いや、気付いていたらこのようなことは書かないか…。

    なんというか、かなり衝撃的なことが書かれてあり、私は女という性に対しての見方が変わってしまいそうになっ    
    た。

    しかし自分の行動を鑑みて、ジュディの指摘もまんざら間違いでもないと思われるので、戒めも込めてその一文

   を書き留めておくとしよう。



   『男の人を扱うには大変に必要な事を発見しました。毛並みにそってなでてやれば、のどをごろごろならしますし

   逆になでればふうふういって怒るものなのです』



    少し前までは世間のことをろくに知らなかったはずなのに、このようなことを軽々と言ってのけるなんて…。

    世慣れてきたのは嬉しいが、できればこの部分は書かないでおいてもらいたかったなぁと思うあたり、私もまだ

   まだ青いな…。

    

















  
























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新潮文庫版では、
「ジミーという器量よしのお兄様がいます」(88ページ)
と訳されている部分、原書では
"good-looking brother named Jimmie."
と書かれています。
また、その次の手紙での
「万一ジャーヴィス叔父様が好男子で若い事が学監の眼にふれたらご一緒にお茶をいただけたかわかりません。」(91ページ)
と訳されている部分は、
"And even then I doubt if we could have had our tea if the Dean had chanced to see how youngish and good-looking Uncle Jervis is."
です。


ジミーもジャーヴィスもGood-lookingのようです。
やるなぁ、ジュディ。