1911年8月22日(火) ロック・ウィローへ来て一週間が経った。これまでのところ、天候は素晴らしく、ジュディの機嫌もすこぶる良い。 まあ、彼女にとって私は知人のペンデルトン氏であって、ジョン・スミス氏などとは関係ないと思っているのだ から当然だろうが。 ここへ来たのは子供の時以来だが、何もかも懐かしく思える。 しかしリジーも変わっていない。 さすがにずいぶんと年を取ったし、かなり太ったのだが、元気一杯でなおかつ、私を子供扱いする。 私はもう彼女の膝にだっこされていた頃よりずっと大きくなった。それどころかリジーを見下ろすことだってでき るのにね。彼女の目にはまだ私が腕白小僧に見えるらしい。 大きくなったといえば、あの頃特にお気に入りだった屋根裏部屋は、端の方など背を屈めなければならなくなって いた。過ぎ去った月日のの長さを思うと感慨深い。そしてそこは現在ジュディの仕事場になっている。涼しくて気に 入ったのだそうだ。 そうそう、ジュディの小説家修行のことだが、彼女はすでに短編を4作書き上げ、それぞれ違った出版社に 送っている。どのような内容かまでは頑として教えてくれないのだが、創作意欲が全く衰えていないことは喜ば しいことだ。 もちろん、私が来たからには家に篭って執筆だけさせるなんてさせはしない。 ここへ着いた翌日から、さっそく彼女を誘って外へ行った。数日かけて付近一帯を何マイルにもわたって散策 したり、川へ行って釣りをしたり。その時には蚊ばりの作り方から教えたのだ。 それに、いつもと同じではつまらないので、食事の時にはいつも違ったところにテーブルを移動させた。 雨の日は客間、天気の良い昼は木陰。ニューヨークの自宅では絶対にできないことだ。 そして明日はジュディに射撃を教える約束をしている。当面はここに滞在することになるだろう。 |