1911年9月28日(木)
    ジュディからの返信が届く。

    もっとも、連絡はこれまで通り、秘書を通じて行ったのだが。

    結論から言うと、ジュディはもう奨学金を受けることをすでに学校側に受諾してしまった。だから文句を言うのは

   やめてくれと、こう言ってきたのだ。

    残りの部分は学期の始まりの様子をのん気に報告してきている。彼女にとって、スミス氏からの要請は少しも

   心を動かす材料にならなかったようだ。

    しかし、私はまだ諦めてはいない。奨学金を辞退することは今からでもできるはずなのだから、遅きに失した

   わけではない。だからこの手紙を受け取ってすぐ、私は秘書に再び手紙を書かせた。これでジュディが折れてくれ

   ることを祈ろう。これまでのことから考えるに、金のことになると彼女は強情になるだろうが。もしも彼女が辞退を拒 
   否するのであれば、その時は仕方がない。大学に直接働きかけるしかあるまい。

    そも、どうして奨学金を受けようなどと思うのか、理解に苦しむ。

    ジュディが受けた奨学金は、一般学科の成績が良好で、特に国語に秀逸なもの、という条件のものだ。

    奨学金という形で、寮費と授業料が免除された形になるわけだ。

    しかし、それをいうのならば、私だってジュディの才能に対する将来性を見出したのだ。だからこそ、彼女に高

   度な教育を受ける機会を与えようと考えたのだぞ。彼女にその才がなかったのなら、多くの孤児同様、働ける年

   になったらそうさせていただろう。特別の才能がない者は、勤勉さで日々の糧を得るしかないのだから。

    また、寮費や授業料が免除になるからといって、実際にかかる費用が0になるわけではない。別の誰かが支払

   うというだけで、やはり費用はこれまで通りかかっているのだ。

    つまり、彼女は援助者の相手を変えるだけであって、それ以外の変化など何もありはしない。

    だというのに、私から援助を受ければ、それは負担だと言うのである。

    それでは私が道楽で彼女を援助しているようではないか…!

    私からだろうと、大学からだろうと、ジュディは援助を受けねば大学生活が成り立たない。

    ならば、これまで通り、私からの援助を受けて何が不満だというのだろう。私の援助を拒むのは、彼女の自己

   満足でしかないではないか。それに彼女が大学の援助を受けることによって、本当にその奨学金が必要な者が

   受けられなくなってしまっただろう。学業を続けたいすべての者に、ジョン・スミス氏がついているわけではないの

   だから…。

    この件に対して、私は断固たる態度をとるつもりだ。

    私という援助者がいる以上、見知らぬ他人の恩恵など受ける必要などどこにもないのだから。
    
























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