1911年11月11日(土) ジュディから手紙が届く。 最後の一言を読んで、思わずしまいっぱなしになっていたジュディの資料―ジョン・グリアから彼女の後援を すると決まった時にもらったものだ―を探してしまった。 すっかり忘れていたが、11月の第一週にはジュディが誕生日を迎えるのだ。 もっともこの日は彼女がジョン・グリアの前に置かれていた日であって、実際に生まれたのはもう数日前で あろう。だが誕生日は誕生日だ。 どうせならば何かプレゼントを贈ってやりたい。しかし一年目、二年目とも贈っていなかったのに今になって プレゼントをするようになったら彼女は何と思うだろうか。 仕方あるまい。幸い、来月にはクリスマスがあることだし、誕生日の分も含めて贈ろう。 それと、どういう心境の変化か、我が姪殿がジュディと仲良くなりたがっているようで、クリスマス休暇に彼女 を誘ったというのだ。マクブライド家に行かせずに済む上、私自身が彼女に会える、素晴らしい展開だ。 だが姉さんの家というのはいささか抵抗があるのだが…。あの家族とはいまいち反りが合わないのだ。 それにしても、この事が気に入らず、寮に残って静かにしているよう望むのならば「日頃の愛すべき従順さでご 希望にそいます」など、済ました調子でよく言うものである。どうせならば奨学金のこともその調子で従ってくれれ ば良かったのに…。 だが、まあ、蒸し返すのはよそう。 今回も私は「沈黙を持って肯定する」つもりだ。 |