1912年5月24日(金)

    妙な絵が描かれてあった。

    蜘蛛のようなものが糸に吊るされているようなものだ。一体これは何だと思って手紙を読み進めると、それは

   『水泳の練習をするジュディの図』であることが判明した。

    このフォームは平泳ぎだな。こうして見るとなかなか良く描けていると思う。

    

    さて、もう一つ、あまり嬉しくない報告も書いてあった。

    ジュディにはJ・ペンデルトン名義で以前から手紙を書いていたのだが…なんとジミー・マクブライドからも届いて

   いるというのだ。もしかしたら、という気はしていた。 だが、マクブライド青年の行動は、妹の友人に対するものか

   それとは関係なしに彼女のことを気にかけているのか、確信が持てないでいた。
    しかしこれで明確になったな。彼はジュディに恋している。つまり、正真正銘私のライバルというわけだ。

    こうしてはいられない。何か手を打たないと…。

    直接会うことは、彼も私もほとんど出来ない。その点では互角だ。

    手紙で交流を深めるのも限度がある。しかし、面白いことに私と彼のやり方は対極にあるようだ。

    私はせいぜい月に一度くらいしか出さないのだが、その分長いものになっている。

    彼は毎週のように出すようだが、それだけ内容は薄くなっているようだ。

    ただし、この求愛者に対するジュディからの返信は、あまり面白みがない。…こんなことを比べられるのも、私が

   彼女の後見人であるからに他ならないのだが。

    

    手紙の文面から読み取る限り、彼女は私と彼を同じ扱いにしているように思える。

    ならば、ここで差をつけることが出来れば、マクブライド青年を牽制することができるだろうか。

    幸い、もうそろそろ夏休みの予定を立てる頃合である。

    アディロンダック山には絶対に行かせない。

    だが、ロック・ウィローというのもマンネリ気味か。

    先に誰かに夏休みを一緒に過ごそうと誘われる前に、行き先を決めて指示しなければ。

    そうでないと、また勝手にどこかへ行ってしまうかもしれないのだから。







  
























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