1913年5月19日(月) ジュディからの手紙が届いた。多分、学生の彼女からのものとしては、最後の手紙になるだろう。 この4年間の集大成として、ぜひとも彼女の晴れ姿を見たかった私は、ジュリアに頼んで招待してくれるよう 手配していた。 ところがジュディも、私―スミス氏のほうだ―を招待したいと言って来た。いや、来てくれなかったら憎むとまで 書いてある。ものすごい剣幕だ。とても冗談として流していると思えない。 卒業式には、スミス氏の名前で花束を贈るつもりでいた。彼女のあしながおじさまとしては会えないので、 せめてもとして。 しかし、こう書いてくるということは、やはりジュディは私がジョン・スミス氏だということには気付いていないのか。 もしかしたらと思っていたのだが…。 いや、気付いていないというのならそのままでいた方がいい。 いずれプロポーズをするつもりでいるのだが、私への恩義で承諾されるのは不愉快だからだ。 だから、ごめんよ、ジュディ。 卒業式の日にも、君の望んでいるスミス氏は現れない。だけど、彼はちゃんと君のことを見守っているから…。 |