1913年10月10日だと思う 
    

   すべての悩みは消え去った。

   私はなんて馬鹿だったのだろう!

   ジュディは私を愛している。

   そう、愛しているんだ!なんという喜び。

   結婚を阻んだ真の原因は、彼女の友人の兄でも、ゴールの見えない作家修行でもなく、ジョン・

  グリア孤児院だったのだ。

   私は、彼女が私と出会うことになった理由をよく知っていたし、彼女自身、スミス氏への手紙

  にはそのことをよく書いてきたので、てっきり彼女自身も承知していたように錯覚していたようだ。
   だが、よく思い返してみれば、ジュディは”ジャーヴィス”にそのことを話していない。

   だから、つまり、私はつまらないことで長い長い遠回りをしてしまったんだ。

   最初から私がジョン・スミス氏だと告げていればよかったんだ…。



   熱と悪寒で頭がぐるぐるする。

   身体が浮いているような感じがするのも、熱のせいかな。それとも幸せだから?

   ペンを握る手が震える。力が上手く入らないのだ。

   だが、喜びのあまりに叫んだ途端、医者が鎮静剤を持って駆け込んできたし、普通に話そ

  うとしても、身体に障るからと毛布を念入りに被せられるのだ。

   黙ってなんかいられないのに、黙らなければならないので、日記にこの喜びを綴ることで我慢しよう。

   もう寝付いてなどいられない。だが、悲しいかな、私の体力は本当に弱ってしまったのだ。

   次の水曜にジュディが来る。それまで元気になりたい。

     













  
























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