面会人はヘザー伯母さんだった。 正確にいえば、父の妹の夫の従兄弟の奥方がヘザー伯母の姪に当たるということで、どうやら私が四歳くら いの時に会ったことがあるということなのだが、当然ながら、私は覚えていない。 何の用かと思ったら、見合い話があるということだった。 最近では、結婚反対と叫ぶだけではなく、私の興味を余所へそらそうとする動きがあるのだ。 見合い写真を見せられたのも、これで何度目か…。何の断りもなく見合い相手だという女性を連れてこられ たこともある。面倒くさい限りだ。 ああ、ロック・ウィローへ行きたい。 そしてしばらくの間、この親戚付き合いから解放されて、ジュディとゆっくり過ごしたい。 しかし私がニューヨークから姿を消したら、その原因としてジュディが槍玉に挙げられるのは想像に難くない…。 私が絶え難きを耐え、忍び難きを忍んでいるのは、偏に彼女に対する風当たりを和らげたいからなのだ。そうで なければ誰があんな…! はあ…ジュディに会いたい。 いっそ、近くに家を借りて、そこに彼女を引っ越させようか。 そうすれば週末だけとはいわず、昼食を一緒にとることや、仕事が終わった後に会うこともできるかもしれな いし。 それに…さすがにそこまではしないだろうと思いたいのだが、もし万が一親戚連中が力ずくで私と彼女を引 き離しにかかったとしても―例えば手切れ金を無理やり渡してどこかに追い立てるとか、良からぬ連中に依頼 して彼女をどこかに浚ってしまうとか…。絶対にないと言い切れないだけに、始末が悪い―近くに住まわせて 小間使いや何やらをつけていれば、その危険性もぐっと小さくなるだろう。 ロック・ウィローでは何かが起こってからでは遅いからな。どのみち、結婚式の準備…ドレスやらなにやらの支度 でこっちまで出てくる必要がこれから何度も出てくるのだろうし、検討してみるか。 |