それからジュディは、私が中々戻ってこないので、知っている人のいないパーティ会場でどうしたらよいのか

    わからなかったのだといった。友人の同伴者は、知人を見つけたとかで早々にいなくなってしまったのだそうだ。

    それなら私のところに来れば良かったのに。

     事情があるにしでも、見知らぬ男と踊っているジュディを私が見たらどう思うか、少しは考えてくれても良かった

    のではないか。断るくらい、本当に気がすすまなかったのなら、どうとでも断れただろう。なにしろ、男の扱い方を

    知っているんだからな、と彼女が以前手紙に書いてきたことを交えて言った途端、彼女が顔を真っ赤にして爆発

    したのだ。

     私がそれを持ち出すのは卑怯だ、とそれはもう、ものすごい剣幕で。

     それからホテルに着くまではまともな会話にならず。

     彼女を部屋まで送ったら、中には入れてもらえず、鼻先で閉めだされた。

     それから二日が過ぎるが、未だに彼女とは連絡が取れない。

     

     それにしても、こうして順序だてて書いてゆくと、冷静に物事が見えるものだな。

     婚約者たる女性にこのような振る舞いをされて、どうして私は怒らずにいられるのだろう。

     男の沽券にかかわると、普通なら思うのではないだろうか。

     まあ、ジュディの怒り方があまりにも凄まじかったので、気を飲まれたのだと思うが。

     とにかく、ジュディがあの調子では仲直りもままならないだろう。しばらく時間を置いて、彼女の頭が冷えるの

    を待つことにするか。

    

    

    

     

     

    
     

     





  
























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*以前書いてきた手紙

ジャーヴィスがジュディと二度目に会った時のことを書いた手紙のこと

「でもジュリアは全然かじをとる術を心得ていないのです。私はそれが男の人を扱うには
大変に必要なことを発見しました。毛並みにそってなでてやれば、のどをごろごろならし
ますし、ぎゃくになでてやればふうふういって怒るものなのです」

ちなみに、ここんちのジャーヴィスの反応